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助成金情報

セミナー報告 5/29セミナー「令和5年度 雇用関係助成金 注目助成金の活用法、『社労士の使い方マニュアル』」

社会保険労務士の、荻生清高です。

 

5月29日のセミナーは、助成金の2回目でした。

今回は、助成金の活用法にスポットを当てました。

そして、筆者も編集に関わった「社労士の使い方マニュアル 助成金編」を取り上げました。

 

マニュアルのポイントは、末尾に説明を加えています。

「社労士の使い方マニュアル」助成金編

※別ウインドウで「Notion」が起動します。Notionは無料でご利用できす。

 

業務改善助成金

ご相談の多い助成金のひとつです。賃上げと生産性向上の相乗効果を見込めます。

  • 賃金の引上げと、生産性向上のための設備等の導入を行った場合に申請できる
  • 設備等導入費用の75%~90%を、支給上限額の範囲で支給
  • 助成率および支給上限額は、事業場内最低賃金の金額、賃上げ額および賃上げ対象となる従業員数に応じて決まる
  • 賃上げおよび設備等を購入・導入する前に、交付申請書・事業実施計画書等の提出が必要
  • 新型コロナによる売上高等の減少、原材料費の高騰などで利益率が減少した事業者(特例事業者)は対象費用が拡充される(自動車やパソコン・スマホ・タブレットの購入費、広告宣伝費など関連経費も対象)
  • 事業完了期限 2024年(令和6年)2月28日

 

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

これもご相談が多い助成金です。賃上げも要件に含まれている点に、ご留意ください。

  • 雇用期間が6ヶ月以上の非正規雇用者(パート、有期雇用、派遣労働者)を正社員に転換した場合に申請できる
  • 有期雇用→正社員転換1人あたり57万円(中小企業)
  • 事前にキャリアアップ計画書の提出が必要
  • 転換の6ヶ月前より、適正な就業規則が運用されていること
  • 正社員に、「昇給」「賞与または退職金」制度が設けられていることが条件
  • 正社員転換前6ヶ月間と、転換後6ヶ月間を比較して3%以上賃金が増額していること

 

人材開発支援助成金(人への投資促進コース)

おすすめは定額制訓練です。

  • デジタル人材・高度人材の育成、労働者が自発的に行う訓練、定額制訓練(サブスクリプション型)等を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成
  • 定額制訓練の経費は、助成率が60%に引き上げ(中小企業)
  • 訓練の事前に計画を作成し、労働局に提出しなければならない

 

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

令和4年12月新設の助成金です。他のコースに比べて、賃金助成や経費助成の額が高いのが特徴です。

  • 新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成
  • 事業展開だけでなく、社内のデジタル化・グリーン化推進を目的とした専門的な訓練を実施した場合にも助成
  • 訓練を始める1ヶ月前までに、労働局への計画届の提出が必要

 

産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)

4月1日以降に経済産業省の「事業再構築補助金」の採択を受けた企業が申し込めます。コア人材を雇い入れるときはぜひ申請を。

  • 労働者を在籍型出向させ、スキルアップさせた事業主に、出向元が負担する賃金の一部を助成する
  • 助成金額が大きい(雇入れ1名あたり280万円(中小企業)、5人まで対象)
  • 出向期間が終了したら、元の事業所に復帰することが前提
  • 出向復帰後6ヶ月間の各月の賃金を、出向前賃金と比較していずれも5%以上上昇させることが条件
  • 出向元が事前に出向計画届を労働局・ハローワークに提出する
  • 採用から6ヶ月後に助成金を申請・受給しても、対象労働者が1年未満で自己都合退職した場合は、助成金を返還しなければならない(支給決定取消)

 

産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)

いわゆる新型コロナ雇用調整助成金の受け皿。実質的な賃金負担を大幅に抑えつつ、雇用維持を図れます。

  • 新型コロナの影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により従業員の雇用を維持場合に、出向元・出向先の双方に、賃金や費用の一部を助成する
  • 助成率が雇用調整助成金・新型コロナ特例並み、経費助成も有
  • 人件費の実質負担を大幅に抑えての、雇用維持が可能

 

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース、成長分野等人材確保・育成コース)

手の届きやすい助成金といえばコレ。基本形の特定就職困難者コースを覚えておくと、応用が利きます。

  • 特定求職者雇用開発助成金とは:
    • 雇用されることが難しいとハローワークが認める求職者(特定求職者)を雇用して、一定の条件を満たした企業に支払われる助成金
    • 特定求職者:母子家庭の母、60歳以上、障害者、生活保護受給者等
  • 成長分野の業務に従事させることで、助成額が1.5倍と高額に
    • デジタル化:情報処理・通信技術者、データサイエンティスト
    • グリーン化:脱炭素・低炭素化に関する研究・技術の職業
    • ※未経験者の雇い入れのみ対象
  • 対象はハローワーク(や職業紹介事業者)経由で雇用した求職者に限られる。求人募集の段階から検討しておく必要がある。
  • 訓練と賃金引上げを併用すると、人材開発支援助成金の訓練費用助成も受けられる(正規雇用のみ)

 

社労士の使い方マニュアル 助成金編 何を伝えたかったか?

最後は、助成金編マニュアルの編者・執筆者として関わった筆者自ら、伝えたいポイントを解説しました。

具体的な内容は、マニュアルをご覧ください。なお、助成金で「社労士と顧問契約を結ぶ意義」については、自著で詳しく解説しています。

「社労士の使い方マニュアル」助成金編

※別ウインドウで「Notion」が起動します。Notionは無料でご利用できす。

4人以下の小さな会社・ひとり社長の労務管理がこの1冊でわかる本 Kindle版

  •  助成金は、何のためにあるのか?
    • 助成金は「雇用を増やす」「人を育てる」「働きやすい環境をつくる」会社に、その後押しをするために支給する
  • 「助成金があるからやる」は、目的と手段が逆
    • カネがもらえるから人を雇う? キャリアアップ制度をつくる?
    • 全体で見れば、助成金で会社のカネは増えない。むしろ出ていく
  • 助成金は、適切な労務管理ができていない会社はもらえない
    • 残業代未払、労働時間を記録していない、就業規則が無い・古い・・・×
    • 助成金をいつでも受けられるよう、普段から労務管理を整えておく
  • 社労士に助成金手続だけを頼むのは、もったいない
    • では、社労士のベストな使い方とは何か?
    • 「助成金をいつでももらえる」労務管理づくり、助成金を使った「制度づくり」を任せる など

 

ご覧いただきありがとうございました。

次回・6月のセミナーも、ご来場お待ち申し上げます。

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