医師の宿日直許可・医師の働き方改革に、どう対応するか
ここ最近、医師の宿日直許可や、医師の働き方改革に関するご相談が、増えてきました。
2024年4月からは、医師にも労働時間の上限規制が、適用されます。
上限規制の適用開始まで、2年を切ってきましたので、病院も動き始めていると感じています。
一方で、対応できる社労士が、なかなかいないようです。
例えば、先日私にお問合せいただいたところでは、他の社労士に「貴院では宿日直許可は取得できない」と断られ、途方に暮れてご相談された方もおられます。
考えられる事態としては、救急指定病院なので、宿日直許可は取得できないと思われたのかもしれません。
ただ、救急指定病院でも、宿日直の許可が認められた例は、いくつもございます。
我々社労士としても、正しい知識と理解をもって、対応する必要があると、改めて感じさせられました。
宿日直の許可 何が難しいのか
宿日直の許可については、取得すること自体は、実は難しくありません。
なぜか。
宿日直許可については、明確な基準が設けられてます。この基準を満たして申請すれば、許可は必ず認められます。
では、何が難しいのか。
この宿日直の許可基準を満たせるように、病院の労務管理を整えること。このハードルが高いです。
宿日直の許可基準には、勤務の実態や宿日直手当、宿日直の回数や睡眠設備などについて、定められています(昭和22年9月13日発基第17号,昭和63年3月14日基発150号)。
また、医師や看護師等については、この許可基準のより具体的な内容が、最近示されました(令和元年7月1日基発0701第8号)。
詳細は控えますが、この許可基準と、病院の労務管理の現状には、ほぼ確実にギャップがあります。これを埋めなければ許可は得られませんが、ここに極めて高いハードルがあります。
医師の働き方改革へのハードル
私が接した事例では、以下のハードルがあります。こういう声をよく聞きます。
- そもそも医師の労働時間の実績が、把握できていない(タイムカードを押す習慣が無い)
- 自己研鑽ができない、というクレーム
- 働き方改革で残業代が減ったら生活できない
- 時間外労働の上限規制を守っていては、地域の医療など守れない
- 応召義務を守っていては、働き方改革などできない
- 人を増やすなど無理。求人に応募してこない、人件費アップは困る
等々、挙げればきりがありません。どれも難題ですが、解決の道はあります。
どこにどんな課題があるかは、当然ながら病院ごとに異なります。オールマイティな解決策はありませんので、私はそれぞれの病院と向き合いながら、解決策を一緒に探るアプローチを、心がけています。
医師の宿日直許可、労働時間上限規制の対応は、専門家の活用を
医師の宿日直許可の取得、あるいは労働時間上限規制対応は、突き詰めると「医師の働き方改革」に及びますが、これは法律知識を含む高度な業務となります。ぜひ、専門家たる社労士の力を借りて、進めて頂きたいです。
弊所は医師の働き方改革に対しては、以下のバランスに配慮して、取り組んでおります。
- 地域医療への貢献、医療機関の収益、医師の自己研鑽
- 医師の健康やワーク・ライフバランス、働きがいとの両立
- 応召義務への配慮
- 医師の労働時間上限規制への配慮(「特定労務管理対象機関」指定の認定支援など)
これらのベストバランスを、追求しております。まずはお気軽に、ご相談ください。
関連情報
医師の働き方改革については、今なお議論が進んでおります。最新の動向は、ここにまとめられています。
厚生労働省「医師の働き方改革の推進に関する検討会」
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