目次
はじめに
「この社員、もう無理かもしれない…」
経営者の方からこうした相談を受けることは、決して少なくありません。遅刻が多い、ミスが目立つ、協調性がない、指示に従わない――こうした「問題社員」への対応は、経営者にとって大きなストレスであり、悩みの種です。
しかし、私は社労士として、こう考えています。
問題社員への対応は、まず「排除」ではなく「改善」や「活用」の可能性を探ることから始めるべきである、と。
もちろん、最終的に退職や解雇という結論に至ることもあります。ですが、その前に踏むべきステップがあると思うのです。
今回は、問題社員対応における「排除より改善」という視点について、お話しさせていただきます。
なぜ「排除」を急いではいけないのか
1. 法的リスクがある
日本の労働法は、従業員の雇用を強く保護しています。「問題がある」というだけで簡単に解雇することはできません。不当解雇と判断されれば、会社は多額の解決金や未払い賃金を支払うことになりかねません。
しかし、法的リスク以上に大切なことがあると、私は思っています。
2. 会社と従業員は対立関係ではない
会社は、経営者だけでも従業員だけでも成り立ちません。
両者が互いに伸びる関係をつくることが、本質だと考えています。問題社員も、もともとは「期待して採用した人材」だったはずです。その人が変わってしまったのか、それとも会社側の何かが影響しているのか――まずはそこを見つめ直すことが大切です。
3. 改善すれば、貴重な戦力になる可能性がある
中小企業にとって、人材は本当に貴重です。採用コストも教育コストもかかっています。もし改善の余地があるなら、その人を活かす道を探る方が、会社にとっても有益なのではないでしょうか。
「改善」を目指すために、まずやるべきこと
ステップ1:事実を正確に整理する
問題対応では、評価や断罪より先に、まず事実を正確に整理することが土台です。
- いつ、どこで、何があったのか
- 誰が見ていたのか、証拠はあるのか
- 本人はどう認識しているのか
感情的にならず、事実だけを淡々と記録しましょう。これが後々、改善指導にも、万が一の法的対応にも役立ちます。
ステップ2:本人と対話する
「なぜそうなったのか」を、いったん受け止めてから考える――これが対話の基本です。
- 家庭の事情があるのか
- 業務の負担が大きすぎるのか
- 人間関係に悩んでいるのか
- そもそも期待されている役割を理解できていないのか
排除を前提にせず、「この人をどう活かせるか」という視点で話を聞くことが、改善への第一歩です。
ステップ3:改善計画を一緒につくる
対話を通じて原因が見えてきたら、改善計画を本人と一緒に作りましょう。
- 具体的な目標(「遅刻をゼロにする」「月のミスを○件以下にする」など)
- 期限(1ヶ月後、3ヶ月後など)
- サポート体制(上司の定期面談、業務の見直しなど)
一方的な命令ではなく、本人が納得して取り組める形にすることが重要です。
それでも改善しない場合は?
もちろん、改善の努力をしても変わらないケースもあります。
その場合でも、会社としてやるべきことをやったという記録が残っていれば、次のステップ(配置転換、退職勧奨、最終的な解雇など)に進むときの根拠になります。
トラブルはゼロにはできません。しかし、起きたときに会社を守れる備えと初動があれば、経営者も安心して前に進めます。
最後に:「良い会社」とは何か
私は、社労士として、良い会社・良い組織を一つでも多く増やしたいと思っています。
良い会社とは、経営者が一方的に我慢する会社でも、従業員がやりたい放題の会社でもありません。
自由度と選択肢があり、お互い様で支え合える風土を持つ会社――それが、私の考える理想です。
問題社員への対応も、その延長線上にあると思っています。まずは排除ではなく、改善と活用の可能性を探る。それが難しければ、次の手を打つ。そのプロセスを丁寧に踏むことが、結果として会社全体の信頼関係を強くするのではないでしょうか。
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