顧問契約を結ばずに従業員が増えるとリスクは高まる?企業が見落としやすい労務管理の落とし穴
「従業員が数名のうちは問題なかったが、人が増えてきて管理が追いつかない」「顧問契約までは必要ないと思っていたが、このままで大丈夫だろうか」と感じる経営者は少なくありません。創業期や小規模事業者では、給与計算や入退社手続きを社内で対応するケースも多いですが、従業員数が増えるほど労務・法務・組織運営の負担は急激に高まります。そのため、顧問契約を結ばずに人員だけ増やすことには一定のリスクがあります。
結論
顧問契約を結ばずに従業員が増えると、一般的にはリスクは高まりやすいといえます。特に、労務管理ミス、就業規則の未整備、残業代トラブル、社会保険手続き漏れ、従業員との紛争対応の遅れなどが発生しやすくなります。人数が増えるほど、経営者の勘や経験だけでは対応しきれなくなるためです。
解説
従業員が1人増えるごとに、単純に業務量が増えるだけではありません。勤怠管理、給与計算、年次有給休暇の管理、社会保険加入判定、ハラスメント相談窓口、評価制度など、管理項目が複雑になります。
たとえば、10人規模を超える頃から「誰が何時間残業したか」「有休取得義務への対応」「問題社員への注意指導記録」など、記録管理の重要性が増します。さらに、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成・届出義務が生じます。こうした法令対応を知らずに放置すると、後から是正対応に追われることになります。
顧問契約を結んでいれば、社会保険労務士や行政書士、税理士などの専門家に継続的に相談でき、問題の予防や早期対応がしやすくなります。
よくある誤解
「トラブルが起きたらスポットで相談すればよい」と考える方もいます。もちろん単発相談が有効な場面もありますが、労務問題は発生前の予防が重要です。未払い残業代請求やハラスメント問題は、起きてからでは証拠不足や初動ミスが大きな損失につながります。
また、「従業員10人未満ならまだ大丈夫」という考えも危険です。人数に関係なく、1件の解雇トラブルやメンタル不調対応で経営負担が大きくなることは珍しくありません。
実務での注意点
従業員増加時には、次の点を早めに整備することが重要です。
・雇用契約書、労働条件通知書の整備
・勤怠管理ルールの明確化
・残業申請と承認フローの構築
・有給休暇管理簿、賃金台帳など法定帳簿の整備
・ハラスメント相談体制の整備
・就業規則や社内規程の見直し
・入退社時の社会保険・雇用保険手続き確認
「まだ問題が起きていないから大丈夫」ではなく、増員のタイミングこそ制度整備の好機です。
士業としての支援内容
社会保険労務士であれば、就業規則作成、労務相談、助成金相談、社会保険手続き、残業代対策などを支援できます。行政書士であれば許認可や契約書整備、法人運営関連の書類作成支援が可能です。税理士は給与計算や資金繰り、税務面からの体制整備に強みがあります。
顧問契約のメリットは、問題発生時だけでなく、日常的に相談できる点です。経営者が一人で抱え込まずに済む体制づくりにつながります。
まとめ
顧問契約を結ばずに従業員が増えると、組織拡大に管理体制が追いつかず、法令違反や労務トラブルのリスクは高まりやすくなります。特に5人、10人、20人と増える節目では、管理方法を見直すことが重要です。必ずしもフル顧問契約でなくても、定期相談や部分委託という方法もあります。従業員が増えてきたと感じた時点で、一度専門家へ相談することをおすすめします。

