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働き方改革

女性社員の健康への配慮は、すべての社員への配慮にもなる

社会保険労務士の、荻生清高です。

 

9月3日開催の、ワーク・ライフバランスコンサルタント九州の勉強会に、参加しました。

今回のテーマは、「人生100年時代を健やかに生きる 女性の健康とワークライフバランス」でした。

 

主なポイントは、以下の通りでした。

  • 女性はその一生において、ホルモンバランスの影響を強く受ける

  • ライフイベントと仕事のキャリアが、密接に関わる(10代〜60代まで各年齢ごとの対応が異なる)

  • 同じ女性でも千差万別・一律の取扱いができない。同じ女性だから理解があるとは限らない

  • 会社においても、体調の変化に対応できる体制が必要

  • 自分はどうであるのか? を「私のトリセツ」で自己理解する

 

女性の健康への配慮は、結果的にすべての従業員の働き方の問題である

この件は、女性の問題と狭く捉えてはいけないと、理解しています。

男女問わず「体調変化、ライフイベントの変化に、会社としてどう向き合うか」を、会社に問うてきます。

 

なぜ「女性への支援制度」が利用されないのか

会社には労働基準法や男女雇用機会均等法で、女性への支援制度の導入が、義務付けられています。

 

厚生労働省「働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について

※ここには掲載されていませんが、労働基準法第68条に、生理休暇の定めがあります。

 

ですが、特に中小企業では、これらの制度は利用されにくいのが現状です。

 

  • そもそも知られていない
    休暇制度があること、またそれを労働者の権利として取得できることが、そもそも知られていません。

 

  • 休暇を言い出しにくい
    休暇制度があっても、生理を含む女性の健康問題は、極めてセンシティブなプライバシー問題です。
    上司や同僚には、同じ女性でも言い出しにくい、まして男性相手には難しい。そう感じる人は多いです。

 

  • 休暇はほぼ無給である
    生理休暇や育児時間は、会社に給与支払いの義務がありません。
    理由を言わなくてもよく、給与も支払われる有給休暇の利用に、傾くのが現状です。

 

解決策

まず、制度の周知は当然です。

その上で、いかに使いやすい休暇にするかが重要です。

 

例えば、以下の例があります。

  1. ネーミング(休暇の名称を変える)
    会社と話し合って、親しみやすい休暇名称にすることがあります。
    これが意外と効果的です。
    弊所では「多目的休暇」などの例がありました。
    他で聞いた例では「気分が乗らない休暇」というのもありました。
  2. 利用目的を問わない、多目的休暇として設計する
    休暇目的を拡張し、不妊治療にも使える・男女問わず使える「多目的休暇」設計を、
    提案することがあります。

 

2の設計を行う場合、重要なポイントは2点です。

まずは年次有給休暇とは別に取得できる、有給休暇として設けることです。

新規導入の場合は、失効した年次有給休暇の一部を積み立てる制度として導入することを、お薦めしています。

導入がしやすいのと、勤続年数が数年経ってから権利が生じますので、長期勤続奨励策にもなります。

 

ポイントのもう1点は、男女問わず公平に利用できる制度として、設計すること。

男女同じ権利にすることで、社内の不公平感を緩和できます。

また「誰でも休む可能性がある」という視点を社内に生み、お互い様の精神で相互フォローを行う風土づくりができます。

 

「休暇を取りづらい」会社に潜む、属人化リスク

「言い出しにくい」休暇の取りづらさと共に問題となるのが、「休みにくい」問題です。

休むと他の人の仕事が・残業が増える。また、自分の仕事ができる人がいない。

 

これらの会社に潜むのが、「属人化」リスクです。

人が欠けると、途端に仕事が・組織が回らなくなってしまいます。

リスクが高い体制ですので、何か起こる前に、対応する必要があります。

 

属人化を解消するには

属人化の解消策には、業務のマニュアル化・複数担当化が挙げられます。

いずれもすぐには結果が出ません。経営者が納得してリーダーシップを発揮し、長期的に取り組む必要があります。

 

あとは「業務を時間いっぱいに、詰めこまないこと」。

弊所では業務時間の80%で、利益が出る体制づくりを、推奨しています。

これは突き詰めると、取引価格の適正化などにも波及しますので、長期的に、かつ経営者が率先して取り組む必要があります。

 

対応には、専門的なアプローチが必要です。お近くの社労士に、ぜひご相談ください。

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