2026年4月施行「高年齢者の労災防止指針案」公表 中小企業が今から準備すべき5つのポイント

厚生労働省は、来年4月に施行される改正労働安全衛生法に基づく「高年齢労働者の労災防止に関する指針(案)」を公表しました。これまでの「エイジフレンドリーガイドライン」を実効性ある指針へと昇格させたもので、中小企業にも具体的な対応が求められます。熊本県内の中小企業経営者の皆さまに向けて、今から取り組むべき要点を解説します。
背景:なぜ今、高年齢者の労災対策が重要か
労働力人口の高齢化が進む中、60歳以上の労働者が増加しています。熊本県内でも同様の傾向があり、建設業・製造業・運輸業などでは高年齢労働者の現場比率が高まっています。これに伴い、労働災害のリスクも顕在化。今回の指針は、企業規模を問わず、こうした背景に対応するための実務的な指針です。
指針の位置づけと法的根拠
今回示された指針案は、2025年4月施行の改正安衛法に基づくもので、「事業者の努力義務」として明記されます。これにより、従来ガイドラインとして存在していた「エイジフレンドリー指針」は廃止され、法的根拠を持つ形での対応が求められることになります。
中小企業が押さえるべき5つの実務ポイント
1. 安全衛生管理体制の確立
– 経営トップの方針表明、安全衛生責任体制の整備が基本。
– 小規模事業場では「労働者の意見聴取機会」(安衛則23条の2)を活用して労使対話を図る。
2. 職場環境の改善
– 照明の確保、手すり設置、段差解消など高年齢者の身体的特性に応じた設備導入が推奨。
3. 健康・体力の状況把握
– 定期的な健康チェックや面談を通じて、本人の就労可能性を確認し、適切な業務配分を行う。
4. 体力に応じた業務管理
– 勤務時間の調整、休憩時間の設定、ゆとりのある作業スケジュール策定が重要。
5. 安全衛生教育の実施
– 年齢に応じた注意喚起や作業マニュアルの整備など、教育面での配慮も必要です。
今後の対応:まず何から始めるべきか
まずは、自社の60歳以上の従業員数や業務内容を洗い出し、どの業務にリスクが潜んでいるかを確認しましょう。次に、労働者との対話を通じて現場の実情を把握し、改善点を整理することが実効的な第一歩になります。特に、委員会が設置されていない事業場では、意見聴取の機会を積極的に設けることがカギです。
まとめ
高年齢者の労災防止は、単なる「安全対策」ではなく、人材の活用・定着といった経営課題そのものでもあります。今回の指針案を、自社の働き方を見直すチャンスととらえ、段階的な実行計画の策定をおすすめします。
当事務所では、改正安衛法対応や高年齢者の職場環境整備に関するアドバイス・研修も承っております。お気軽にご相談ください。
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