18県が動いた「トランプ関税」への対応 熊本県の支援状況を解説

熊本の経営者が知るべき「関税リスク」
アメリカの「トランプ関税」再発動が、じわじわと熊本の中小企業にも影響を及ぼし始めています。
共同通信の調査によれば、全国47都道府県のうち18県がすでに中小企業向けの金融支援を実施、または実施を決定しています。
一方で熊本県は、現時点で実施には至っておらず、他の9都県と同様に「金融支援を検討中」という立場です。
ただし、企業向けの相談窓口はすでに4月上旬に設置済みで、準備は進んでいます。
熊本県「米国自動車関税措置等に伴う特別相談窓口について」
※日本政策金融公庫の熊本支店・八代支店、商工中金熊本支店、県内の各商工会議所など。
また、熊本県商工振興金融課内に、金融(県制度融資)・経営に関する特別相談窓口を設置しています。
熊本市「中小企業・小規模事業者向けの『米国関税措置等に伴う特別相談窓口』」
※こちらは、くまもと森都心プラザ内の、ビジネス支援施設「XOSS POINT.」に設けられています。
資金繰りや経営などに関する、お悩みの相談を受けつけています。
「トランプ関税」とは?その基本と現状
トランプ元大統領の第2次政権下で再び導入された関税政策。
特に2025年4月には、鉄鋼・アルミ・自動車などの輸入品に高い関税を課す「相互関税」が再発動されました。
その結果、日本からの輸出にも影響が広がりつつあり、自動車部品や農産物をはじめとした多くの産業が打撃を受ける可能性があります。
各地で進む中小企業向け支援
たとえば鳥取県では、売上が減った企業向けに総額30億円の特別融資枠を設置。
福岡県でも5月から独自の融資制度がスタートします。
このように全国では18県が、すでに資金繰り支援を始めています。今後、対応の輪はさらに広がる見込みです。
熊本県の対応状況
熊本県は、4月7日に経営安定や資金繰りの相談に応じる「専用窓口」を設置済み。
4月末時点では相談件数は報告されていないものの、影響が本格化した際に備え、金融支援の導入も検討中です。
影響が懸念される熊本の主要産業
熊本県が懸念する主な産業は以下の通りです。
– 農林水産業(コメ・牛肉など)
– 自動車部品関連
– 電子・電機、特に半導体
一部では受注予定案件の停止も確認されており、今後さらに広がる可能性があります。
もし影響が出始めたら?初動対応のポイント
売上減少や受注キャンセルなどが発生した際には、まずは県の相談窓口に連絡を。
相談内容に応じて、融資制度や支援情報を案内してもらえます。
雇用調整助成金など、雇用維持の支援も
業績の悪化が雇用に波及する場合には、国の「雇用調整助成金」などの活用が有効です。
早めに社労士に相談・検討することで、従業員の雇用を守る手段が広がります。
輸出先の多角化も視野に入れて
米国市場への依存度が高い企業は、取引先や販売先の分散を検討する時期かもしれません。
国や自治体の補助金制度を活用すれば、新たな市場開拓も可能です。
まとめ:変化に備える経営と専門家の活用
今回の「トランプ関税」の影響は、目に見えないところから始まり、じわじわと中小企業に影響を与えます。
だからこそ、「今は大丈夫」ではなく、「今のうちに備える」姿勢が大切です。
相談窓口の活用はもちろん、私たち社会保険労務士のような専門家と連携しながら、変化に強い体制を築いていきましょう。
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本件に関するご相談がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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