中小企業の障害者雇用はどう進める? 法定雇用率2.7%時代に備える実務ポイント

厚生労働省の最新調査によると、2025年6月時点で働く障害者の数が初めて70万人を超え、過去最多を記録しました。しかしその一方で、法定雇用率を達成している企業はわずか46%。そして雇用ゼロの企業の9割が「従業員40人〜100人未満」の中小企業でした。
本記事では、来年7月に予定されている「法定雇用率引き上げ(2.7%)」を前に、中小企業がどのように障害者雇用と向き合うべきか、実務の視点から整理します。
障害者雇用「70万人突破」の意味とは
厚生労働省の集計によれば、2025年6月時点で民間企業に雇用されている障害者の数は70万4610人。前年よりも約2万7000人増加し、22年連続の増加となりました。これは企業の取り組みの成果でもありますが、見逃せないのが「法定雇用率未達成企業」の多さです。達成率は46%、つまり半数以上の企業が義務を果たせていない現状です。
熊本の中小企業にとっての“現実”
調査では、障害者を1人も雇用していない企業のうち、約9割が従業員40人〜100人未満の規模。これは熊本県内の多くの企業にも当てはまります。事業規模が小さいほど、「適切な人材が見つからない」「受け入れ態勢が整っていない」「何から始めればよいか分からない」といった課題を抱えがちです。
来年7月、「法定雇用率2.7%」へ引き上げ
現在の民間企業における障害者法定雇用率は2.5%ですが、2026年7月からは2.7%に引き上げられる予定です。現行では「40人ごとに1名の障害者を雇用」ですが、新たには「37.5人ごとに1人の障害者を雇用」と、見た目以上に企業の対応が求められることになります。
中小企業こそ「戦略的雇用」が必要
障害者雇用は「義務」としてだけでなく、人材戦略としても活用すべきです。例えば、業務の切り出しによって特定作業に集中してもらい、全体の生産性を向上させる事例もあります。また、助成金やジョブコーチ制度、特例子会社の活用など、公的支援策も整備されています。
まとめ:第一歩は「知ること」から
障害者雇用に取り組むことは、企業の社会的責任を果たすことでもあり、持続可能な経営につながります。「自社にはまだ早い」と感じている経営者の方こそ、まずは制度を知り、専門家やハローワークに相談してみてください。義務を果たすことが、結果的に企業価値の向上につながる可能性もあるのです。
障害者雇用についてのご相談は、荻生労務研究所までお気軽にお問い合わせください。中小企業の現場に即した、実効性ある支援をご提案いたします。
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