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よくあるご質問

令和5年度最低賃金は、過去最高の引き上げの見通し。会社はどう対応するか?

社会保険労務士の、荻生清高です。

 

令和5年度の最低賃金について、中央最低賃金審議会での目安額が示されました。

全国平均で時給換算1,002円、加重平均の引き上げ幅は41円と、昨年を上回る過去最高額への引き上げ幅になります。

このあと、各都道府県の審議会で引き上げ幅を決定し、10月1日をめどに引き上げられます。

 

最低賃金の引き上げ幅目安は、地域によって3つのランクに分けられています。

目安は、Aランク41円、Bランク40円、Cランク39円です。

 

ここからは、弊所の所在地である熊本県を例に説明します。

後述する最低賃金引き上げへの対応は、他県でも同様に進められます。

 

熊本県の最低賃金はどうなるか?

さて我らが熊本県ですが、地域区分はCランクです。

目安では39円の引き上げ幅ですが、これを上回る可能性は、十分あります。

 

実際に、昨年度・令和4年度の熊本県最低賃金は、目安額を上回る引き上げ幅でした。

 

熊本県に適用されている、令和4年度の最低賃金は、853円です。

これは前年比32円の引上げでしたが、中央最低賃金審議会の示したDランク(当時)目安額の30円を2円上回る、過去最大の大幅引上げでした。

それでもなお、全国最低額という結果です(全国単独最低額は、どこの県も嫌いますので、横並びの最低額になることがほとんどです)。

 

今のところ、熊本県は8県と並んで最低額ですので、目安額通りに引き上げても単独最下位とはなりません。

ただし、Cランク通りの額だと地域間格差が広がり、取り残されます。

目安額を超える引上げで、地域格差を縮小させることも、十分考えられます。

目安額の39円引き上げ・892円を上回ることも、十分あり得るでしょう。

 

最低賃金の引き上げに、事業主はどう備えるか?

いずれにせよ、またも過去最大の最低賃金引上げになることは、避けられません。

会社としては利益圧迫の要因ですので、先回りしての対応が求められます。

 

最低賃金の引き上げに備えた、会社の対応を挙げておきます。

  • 扶養の範囲内で働くパート社員は、今のうちから年末のシフト・人繰りの検討を
    従業員とのコミュニケーション、理解と協力が求められます。
  • 販売価格への転嫁の検討、値上げへの理解促進を進める
    賃上げが企業の利益を圧迫する場合、可能な限り生産性の向上、また価格見直しの検討が求められます。
    これは、取引先、あるいは顧客とのコミュニケーションが必要です。
  • 生産性の引上げによる、コスト削減の検討を
    設備やシステムへの投資を行うときは、助成金、補助金もご検討ください。

 

対策に取り組むときは、ぜひ業務改善助成金の検討を

会社への支援措置で、真っ先に検討するのは、業務改善助成金です。

先に述べた通り、今年の10月からは、昨年以上の最低賃金引き上げとなる可能性が 高いです。

既に購入したい機械設備などのある企業については、最低賃金引上げの 10月よりも1ヶ月早い9月に、賃金を引き上げて助成金を申請すれば、10月以降に賃上げするよりも、得になります。

 

他方、これまで社内の最低賃金が高く、業務改善助成金が申し込めなかった企業は、 10月の最低賃金引き上げ以降、申し込める可能性が出てきます。

この場合、設備投資を10月以降の賃金引上げに合わせて行うことも、ご検討ください。

 

業務改善助成金は、賃上げや設備投資を行う前に、労働局に計画を届け出なければ不支給になります。

ご検討の段階で、お早めに社労士へご相談ください。

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