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労務顧問FAQ

トラブルが起きてから労務顧問を契約しても間に合いますか?

トラブルが起きてから労務顧問を契約しても間に合う?押さえておきたいポイントと注意点

人事・労務のトラブルは、ある日突然起こることが少なくありません。
「従業員から未払い残業代を請求された」「解雇をめぐって揉めている」「メンタル不調で長期休職になった」など、問題が表面化してから慌てて労務顧問(社会保険労務士など)を探すケースは、中小企業では非常に多いです。
そこで気になるのが、「今から労務顧問を契約しても間に合うのか?」という点です。

以下では、この疑問にお答えしつつ、トラブル発生後に顧問契約する場合のメリット・限界、そして今後の予防につながるポイントをわかりやすく解説します。

回答の結論

結論からいうと、トラブルが起きてから労務顧問を契約しても「手遅れ」というわけではなく、むしろ早めに専門家を入れることで、被害拡大を防げるケースが多くあります。

ただし、
・すでに発生しているトラブル自体を「なかったこと」にすることはできない
・訴訟や労働審判など、すでに手続きが進んでいる段階では、できることに限界がある
・顧問契約とは別に「スポット対応費用」がかかることが多い
といった現実もあります。

つまり、「今すぐ相談する価値は大いにあるが、できればトラブル前に顧問を入れておくのがベスト」というのが実務上の答えになります。

トラブル後に労務顧問を契約する場合のポイント

トラブルが発生してから労務顧問を依頼する場合、主なサポート内容は次のようなものです。

・事実関係の整理
― いつ、誰が、何を、どのように行ったのか
― 就業規則や雇用契約書との整合性の確認

・法令上のリスクの洗い出し
― 労働基準法違反の有無
― 解雇・懲戒の手続きが適正か
― 未払い残業、ハラスメントの有無など

・会社としての対応方針の検討
― 従業員への説明方法、交渉の進め方
― 必要に応じて弁護士と連携するタイミング

・再発防止策の提案
― 就業規則の見直し
― 労働時間管理の改善
― 管理職研修やハラスメント研修の企画 など

このように、トラブルの「火消し」と「再発防止」の両面からサポートが受けられる点が、トラブル後に労務顧問を入れる大きなメリットです。

よくある誤解とリスク

トラブル後の相談で、次のような誤解が見られます。

・「顧問を入れれば、解雇や未払い残業の問題もなんとかしてもらえる」
→ すでに違法性が高い対応をしてしまっている場合、完全にリセットすることはできません。ダメージを最小限に抑える「着地点」を探るサポートが中心になります。

・「とりあえず従業員に強く出れば収まるはず」
→ 感情的な対応や一方的な通告は、後々の紛争を深刻化させる要因になります。専門家のアドバイスなしに強引に進めるのは非常に危険です。

・「労働基準監督署から呼び出されているが、出てから考えればいい」
→ 事前準備なしで対応すると、不利な説明をしてしまうリスクがあります。呼び出し段階で労務顧問に相談しておく方が安心です。

これらの誤解から、「相談が1〜2カ月遅れただけで、状況がかなり悪化してしまった」というケースも珍しくありません。トラブル後であっても、「おかしいな」と感じた段階で早めに専門家へ連絡することが重要です。

実務で押さえておきたい注意点

トラブル後に労務顧問を依頼する際は、次の点を意識しておくとスムーズです。

・資料をできるだけ揃えておく
― 就業規則、雇用契約書、給与明細、タイムカード・勤怠データ
― トラブルのきっかけになったメール、LINE、メモなど

・事実関係は隠さず、正直に伝える
― 「会社に都合の悪いこと」も含めて話してもらった方が、現実的な解決策を立てやすくなります。

・今後どうしたいかの希望を整理しておく
― 該当従業員との関係を継続したいのか、円満退職を目指すのか など
― 経営者の「落としどころ」を共有することが大切です。

・顧問契約の範囲と費用を事前に確認する
― 既に進行中の紛争対応は「別途費用」となることが多い
― 電話・メール相談の回数制限の有無 など

こうした点を押さえておけば、限られた時間の中でも効率よく対応方針を組み立てることができます。

専門家(社会保険労務士)に依頼できるサポート

労務顧問として関与する社会保険労務士は、次のような形で企業を支援します。

・日常的な労務相談(採用、配置転換、懲戒、退職など)
・就業規則、各種規程の作成・見直し
・36協定など労働基準監督署への届出
・長時間労働やハラスメント防止の仕組みづくり
・トラブル発生時の初期対応アドバイス・書面作成支援
・必要に応じて弁護士と連携した紛争解決のサポート

トラブル前から顧問として関与していれば、「そもそも問題行為をしない」「紛争化する前に軌道修正する」ことがしやすくなり、結果としてコスト・精神的負担の両方を大きく減らすことができます。

まとめ

トラブルが起きてから労務顧問を契約しても、決して「手遅れ」ではありません。むしろ、自己判断で動き続けるより、早い段階で専門家を入れた方が被害を抑えられるケースが多くあります。

一方で、すでに起きてしまった事実をゼロに戻すことはできません。その意味では、「トラブルが起きてから」ではなく「トラブルが起きる前」から労務顧問を入れておくことが、会社と従業員双方を守る最も有効な予防策といえます。

現在すでに問題が発生している場合は、「こんなことを相談していいのかな」と迷う前に、まずは一度専門家へ状況を共有してみてください。早めの相談が、最悪の事態を防ぐいちばんの近道になります。

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