生成AIで未来を創る社労士|クラウド勤怠管理・給与計算導入 |起業家・スタートアップ支援|運送業・建設業・医師の働き方改革

050-8890-0477

労務顧問FAQ

顧問社労士に労使トラブルの仲裁を依頼できますか?

顧問社労士に労使トラブルの仲裁を依頼できる?できる範囲・できない範囲を整理

「従業員と揉めそうだから、顧問社労士に間に入って解決してほしい」「裁判までは避けたいので“仲裁”してほしい」といった相談は少なくありません。日頃から会社の実情を知っている顧問社労士なら、スムーズに収められそうに見えます。一方で、社労士の業務には法律上の範囲があり、言葉としての“仲裁”と、制度としてのADR(あっせん・調停など)では意味が異なる点に注意が必要です。

結論:顧問社労士に依頼できるのは「仲裁人」ではなく「当事者の代理・支援」が中心

一般に、顧問社労士へ「中立の第三者として仲裁人になってほしい(=仲裁判断を下してほしい)」という依頼は現実的ではありません。会社側の顧問である時点で中立性を担保しづらく、また社労士の職務は“当事者(会社または労働者)の支援・代理”が中心です。
ただし、一定の要件を満たした「特定社会保険労務士(特定社労士)」であれば、裁判外の紛争解決手続(ADR)のうち、法令で認められた手続について“代理人”として関与できる場面があります。つまり、依頼のポイントは「仲裁してもらう」ではなく、「ADR(あっせん等)で会社側代理人として動いてもらう/紛争を予防・整理してもらう」と捉えるのが正確です。

解説:社労士が関与できる労使トラブル対応の代表例(特定社労士が前提になることが多い)

1) 労働局の「あっせん」等(個別労働紛争解決制度)
解雇、雇止め、残業代、配置転換、ハラスメントなどの個別紛争で、総合労働相談→助言・指導→あっせんへ進む制度があります。あっせんは、第三者(紛争調整委員)が双方の主張を整理し、合意解決を促す手続で、裁判より簡便・迅速に進むことが多いのが特徴です。
この場面で、特定社労士が会社側の代理人として申立や期日対応を支援できる領域があります。

2) 都道府県労働委員会の「あっせん」等
個別労働関係紛争について、労働委員会が行うあっせん手続に関し、特定社労士が代理人として関与できる類型が整理されています。

3) 男女雇用機会均等法等に基づく調停、指定民間ADR(一定の範囲)
法令で定められた特定の調停手続や、厚生労働大臣が指定する民間ADR等について、特定社労士の代理が認められる枠組みがあります。なお、扱える範囲や条件(例えば紛争目的価額の上限など)が定められていることがあるため、個別案件での確認が必須です。

4) そもそも“揉めない”設計(予防法務・労務管理)
社労士が最も力を発揮するのは、紛争が顕在化する前後の「事実関係の整理」「就業規則・運用の点検」「懲戒・解雇・休職の手順設計」「ハラスメント対応フローの整備」「記録・証拠の残し方」などです。結果として、あっせんや訴訟に進む前に沈静化するケースも多く、顧問契約の価値が出やすい領域です。

よくある誤解:この言い回しに要注意

・「社労士ならトラブルを“仲裁”して決着を付けられる」
→ 中立の判断を下す“仲裁人”になることと、当事者の代理・支援は別物です。社労士は基本的に当事者側に立って支援します。

・「顧問社労士なら誰でも、あっせんの代理ができる」
→ ADRの代理を行うには、特定社労士であることが必要です。顧問かどうかとは別の要件です。

・「あっせんに持ち込めば、相手は必ず出てくる/必ず解決する」
→ あっせんは合意を促す仕組みで、強制的に結論が出る制度ではありません。出席・合意は相手の判断も影響します。

実務での注意点:依頼前に社内で整えるべきこと

・まず“争点”を分解する(例:解雇の有効性、未払残業の範囲、ハラスメントの事実認定、金額条件など)
感情論のまま進めると長期化しやすいので、時系列、証憑、社内ルール、本人の主張を棚卸しします。

・初動での説明・記録が勝敗を分ける
面談メモ、注意指導の記録、勤怠・業務指示のデータ、相談窓口の受付記録など、“後から作れない”記録の確保が重要です。

・利益相反(両方の味方はできない)
顧問社労士が会社側で動く場合、同一案件で従業員側の代理・助言を同時に行うことはできません。過去の相談経緯も含め、関与の可否を早めに確認します。

・訴訟・労働審判へ移行する可能性も見据える
あっせんでまとまらないケースもあります。早い段階から「弁護士に引き継ぐライン」「費用と解決方針」を社労士と共有しておくと、段取りが崩れません。

士業としての支援内容:顧問社労士に依頼すると何が進むか

・紛争の見立て(争点整理、法令・社内規程・運用の適合性チェック)
・会社としての主張と落としどころの設計(和解条件の作り方、再発防止策の提案)
・労働局等の手続での書面作成支援、期日対応の同席・代理(特定社労士で対応できる範囲)
・就業規則、懲戒規程、ハラスメント規程、相談窓口、教育研修の整備による再発防止
・必要に応じた弁護士連携(訴訟・労働審判、示談書の高度な法的設計が必要な局面)

まとめ

顧問社労士に「仲裁人として中立に裁いてもらう」という意味での仲裁依頼は、現実的には適しません。一方で、特定社労士であれば、法令上認められたADR手続で会社側の代理・支援を担える場面があり、また紛争の予防・整理は社労士の得意分野です。
ポイントは、①顧問社労士が特定社労士か、②想定している手続が社労士の代理対象か、③社内の事実整理と記録が揃っているか、の3点です。早めに顧問社労士へ共有し、必要なら弁護士連携も含めて“解決ルート”を設計すると、コストと時間のロスを抑えられます。

関連記事

TOP