パート・アルバイトの社会保険について、
「週20時間以上働いたら社会保険に加入するの?」
「以前は週30時間以上と聞いたけれど、どちらが正しい?」
「週30時間未満にすれば、社会保険には加入しなくていい?」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、「週20時間」と「週30時間」は、どちらか一方が正しく、もう一方が間違っているわけではありません。
パート・アルバイトが健康保険・厚生年金保険の加入対象になるかを判断するときは、まず正社員など通常の労働者と比較する「4分の3基準」を確認します。
たとえば、通常の労働者の所定労働時間が週40時間であれば、その4分の3は週30時間です。ここから「社会保険は週30時間以上」という説明が出てきます。
一方、4分の3基準を満たさない場合でも、一定の要件を満たす短時間労働者は社会保険の加入対象になります。その要件の一つが、週の所定労働時間が20時間以上であることです。
つまり、「週30時間」と「週20時間」は同じ基準を言い換えたものではなく、社会保険の加入対象者を判断する際に、それぞれ異なる場面で使われる基準なのです。
したがって、「週30時間未満だから社会保険に加入しなくてよい」と単純に判断することはできません。
この記事では、「週20時間」と「週30時間」という2つの基準がなぜ存在するのか、パート・アルバイトの社会保険加入をどのように判断すればよいのかを、2026年の制度改正も含めて解説します。
目次
社会保険は週20時間?30時間?まず結論
最初に、「週20時間」と「週30時間」の違いを整理しておきましょう。
| 基準 | 位置づけ |
|---|---|
| 週30時間 | 通常の労働者が週40時間勤務の場合に、「4分の3基準」から算出される時間 |
| 週20時間 | 4分の3基準を満たさない短時間労働者について、社会保険の適用を判断する要件の一つ |
| 週30時間未満 | それだけで社会保険の対象外になるわけではない |
| 週20時間以上30時間未満 | 企業規模など、短時間労働者に関する他の加入要件を確認する必要がある |
ポイントは、最初から「20時間か30時間か」の二者択一で判断するものではないということです。
社会保険の加入対象になるかどうかは、基本的に次の順序で確認します。
① まず、4分の3基準を満たしているか確認する
↓
② 4分の3基準を満たさない場合、短時間労働者への社会保険の適用対象となる企業等かを確認する
↓
③ 対象となる場合、週20時間以上など短時間労働者の加入要件を確認する
2026年9月現在、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等では、4分の3基準を満たさないパート・アルバイトであっても、週の所定労働時間が20時間以上であることなど、一定の要件を満たすと社会保険の加入対象になります。
なお、短時間労働者の社会保険については、2026年10月に月額8.8万円以上という賃金要件が撤廃される予定です。また、企業規模要件についても今後段階的に縮小・撤廃されます。
これらの制度改正についても、後ほど詳しく解説します。
「週30時間」が社会保険の基準と言われる理由
「社会保険は週30時間以上」と聞いたことがある方も多いでしょう。
しかし、この「30時間」という数字は、すべての会社に共通する一律の加入基準ではありません。
パート・アルバイトなどであっても、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、同じ事業所で働く通常の労働者の4分の3以上である場合は、健康保険・厚生年金保険の加入対象になります。
これが「4分の3基準」です。
たとえば、その事業所の通常の労働者が、
- 1週間の所定労働時間:40時間
- 1か月の所定労働日数:20日
であれば、その4分の3は、
- 1週間の所定労働時間:30時間
- 1か月の所定労働日数:15日
となります。
この場合、週の所定労働時間が30時間以上、かつ1か月の所定労働日数が15日以上であれば、4分の3基準を満たすことになります。
一般的に「社会保険は週30時間以上」と言われることがあるのは、通常の労働者が週40時間勤務である場合、その4分の3が週30時間になるためです。
したがって、「週30時間」という数字だけを独立した加入基準として考えるのではなく、通常の労働者の働き方との比較によって決まる数字だと理解しておくことが重要です。
4分の3基準は「労働時間」と「労働日数」の両方で判断する
4分の3基準は、週の所定労働時間だけで判断するものではありません。
「1週間の所定労働時間」と「1か月の所定労働日数」の両方が、通常の労働者の4分の3以上であるかを確認します。
たとえば、通常の労働者が週40時間・月20日勤務の事業所であれば、週30時間という数字だけを見るのではなく、月の所定労働日数についても15日以上であるかを確認する必要があります。
そのため、「週30時間働いているから必ず4分の3基準を満たす」と労働時間だけで判断しないよう注意が必要です。
そして、4分の3基準を満たさなかったとしても、それだけで社会保険の対象外になるわけではありません。
ここで「週20時間」というもう一つの基準が関係してきます。
週30時間未満でも社会保険に加入するケース
4分の3基準を満たさない場合でも、短時間労働者として一定の要件を満たせば、健康保険・厚生年金保険の加入対象になります。
2026年9月現在、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等では、4分の3基準を満たさないパート・アルバイトについても、週の所定労働時間が20時間以上であることなど、一定の要件を満たす場合には社会保険に加入する必要があります。
たとえば、通常の労働者が週40時間勤務の会社で、パート従業員の所定労働時間が週25時間だったとします。
週25時間は、週40時間の4分の3にあたる30時間未満ですから、労働時間については4分の3基準を満たしません。
しかし、「25時間は30時間未満だから社会保険には加入しない」と判断することはできません。
勤務先が短時間労働者への社会保険の適用対象となる企業等であれば、次に「週20時間以上」などの短時間労働者の加入要件を確認します。
この例では週25時間ですから、少なくとも「週の所定労働時間が20時間以上」という要件には該当します。そのうえで、雇用期間や学生であるかどうかなど、その他の要件を確認します。
「51人以上」は単純な従業員数ではない
ここで注意したいのが、企業規模を判断する「51人以上」という数字です。
一般的な意味での従業員数を、そのまま数えるわけではありません。
社会保険の適用拡大における企業規模は、厚生年金保険の被保険者数を基準として判断します。
法人の場合は、一つの店舗や営業所だけで判断するのではなく、同一法人のすべての適用事業所の被保険者数を合計して判断します。
また、「51人以上」は、ある一時点の人数だけで判断するものではありません。1年のうち6か月間以上、厚生年金保険の被保険者数が51人以上となることが見込まれるかどうかによって判断します。
そのため、「現在の被保険者数が51人未満だから対象外」と単純に判断することはできません。
企業規模が50人前後で推移している場合や、採用などによって今後被保険者数が増えることが見込まれる場合には、特定適用事業所に該当するか確認しておく必要があります。
51人未満なら週20時間以上でも加入しなくてよい?
2026年9月現在、企業規模要件だけを見れば、原則として51人未満の企業等は短時間労働者への適用拡大の対象ではありません。
そのため、「週20時間以上働いている」ということだけで、直ちに社会保険の加入対象になるわけではありません。
ただし、企業規模にかかわらず4分の3基準を満たしていれば、社会保険の加入対象になります。
また、51人未満の企業等であっても、労使の合意に基づく手続きを行い、短時間労働者を社会保険の適用対象とする「任意特定適用事業所」となっている場合があります。
さらに、企業規模要件そのものが今後段階的に縮小されます。
したがって、「51人未満だから対象外」と固定的に考えるのではなく、4分の3基準、勤務先の適用状況、今後の制度改正を含めて確認する必要があります。
週20時間以上のパート・アルバイトの加入条件
それでは、4分の3基準を満たさないパート・アルバイトが、短時間労働者として社会保険の加入対象になる要件を確認してみましょう。
2026年9月現在、原則として次の条件を確認します。
| 確認項目 | 2026年9月現在の要件 |
|---|---|
| 企業規模 | 厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等 |
| 労働時間 | 週の所定労働時間が20時間以上 |
| 賃金 | 所定内賃金が月額8.8万円以上 |
| 雇用期間 | 2か月を超えて雇用される見込みがある |
| 学生 | 原則として学生ではない |
なお、月額8.8万円以上という賃金要件については、2026年10月に撤廃される予定です。
「週20時間」は実労働時間ではなく所定労働時間で判断する
「週20時間以上」という要件について、原則として基準になるのは、実際にその週に何時間働いたかではなく、就業規則や雇用契約書などで定められた「週の所定労働時間」です。
たとえば、雇用契約上は週18時間勤務で、ある週だけ残業によって22時間働いたとしても、それだけで直ちに「週20時間以上」の要件を満たすわけではありません。
一方で、契約上の所定労働時間が週20時間未満であっても、実際の労働時間が週20時間以上となる状態が続く場合には注意が必要です。
実際の労働時間が2か月連続して週20時間以上となり、その状態が今後も続くと見込まれる場合には、3か月目から社会保険の加入対象となることがあります。
会社としては雇用契約書だけでなく、実際の勤務実績についても継続的に確認しておく必要があります。
「月額8.8万円以上」は給与の総支給額とは限らない
2026年9月現在、短時間労働者の加入要件には、所定内賃金が月額8.8万円以上という要件があります。
ここでいう月額8.8万円には、すべての給与が含まれるわけではありません。
たとえば、賞与など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金、通勤手当、家族手当などは、月額8.8万円以上かを判定する際には原則として含まれません。
そのため、給与明細の総支給額だけで判断するのではなく、どの賃金を対象として判定するのかを確認する必要があります。
ただし、この賃金要件は2026年10月に撤廃される予定です。
「2か月以内の契約なら対象外」とは限らない
短時間労働者については、2か月を超えて雇用される見込みがあることが加入要件の一つです。
しかし、契約期間が2か月以内となっていても、契約書に更新される場合があることが明示されている場合や、同様の雇用契約で実際に更新された実績がある場合など、当初から2か月を超えて雇用されることが見込まれる場合には、加入対象になることがあります。
したがって、「2か月契約にしておけば社会保険には加入しなくてよい」と考えることはできません。
学生は原則として対象外
短時間労働者の加入要件では、原則として学生ではないことも条件となっています。
そのため、週20時間以上働いている学生アルバイトであっても、短時間労働者への適用拡大については原則として対象外です。
ただし、休学中の学生や定時制・通信制の学生など、学生であっても対象となる場合があります。
また、学生であっても4分の3基準を満たす場合まで社会保険の対象外になるという意味ではありません。
2026年10月から社会保険の加入条件はどう変わる?
短時間労働者の社会保険の加入要件は、2026年10月から一部変更される予定です。
大きな変更点は、「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件が撤廃される予定であることです。
| 加入要件 | 2026年9月まで | 2026年10月以降 |
|---|---|---|
| 企業規模 | 51人以上の企業等 | 51人以上の企業等 |
| 週の所定労働時間 | 20時間以上 | 20時間以上 |
| 所定内賃金 | 月額8.8万円以上 | 賃金要件を撤廃予定 |
| 雇用期間 | 2か月を超えて雇用される見込み | 同じ |
| 学生 | 原則として学生ではない | 同じ |
つまり、2026年10月から「週20時間」という基準に変わるわけではありません。
週20時間以上という要件はすでに存在しており、今回変わるのは月額8.8万円以上という賃金要件です。
月額8.8万円の賃金要件は、すでに実質的な意味を失っている
月額8.8万円という賃金要件は、年収に換算するとおおむね106万円になることから、いわゆる「106万円の壁」と呼ばれてきました。
ただし、2026年9月現在、この賃金要件は制度上はまだ残っているものの、通常の最低賃金が適用される労働者については、すでに独立した加入要件としての実質的な意味を失っています。
これは、すべての都道府県で最低賃金が時給1,016円以上となったためです。
時給1,016円で週20時間働いた場合、1か月あたりの賃金を単純計算すると、
1,016円 × 20時間 × 52週 ÷ 12か月 = 約88,053円
となります。
つまり、最低賃金以上で週20時間以上働けば、原則として月額8.8万円以上という賃金要件も同時に満たすことになります。
こうした状況を踏まえ、月額8.8万円以上という賃金要件は2026年10月に正式に撤廃される予定です。
したがって、2026年10月に突然「106万円の壁」が実質的に消えるというより、最低賃金の上昇によってすでに実質的な意味を失っている賃金要件を、制度上も撤廃すると理解すると分かりやすいでしょう。
※最低賃金の減額特例が適用される場合など、例外的なケースがあります。
「106万円の壁」と「130万円の壁」は別のもの
今回撤廃される予定なのは、短時間労働者が健康保険・厚生年金保険の加入対象になる際の月額8.8万円以上という賃金要件、いわゆる「106万円の壁」です。
一方、「130万円の壁」は、健康保険の被扶養者や国民年金の第3号被保険者となれるかどうかに関係する収入基準です。
したがって、「106万円の壁」が制度上なくなるからといって、「130万円の壁」までなくなるわけではありません。
「年収の壁」という言葉だけで一括りにせず、それぞれ何を判断するための基準なのかを区別する必要があります。
企業規模要件も2035年までに段階的に撤廃
短時間労働者の社会保険については、企業規模要件も段階的に縮小され、最終的には撤廃されることになっています。
今後の予定は次のとおりです。
| 時期 | 短時間労働者への適用拡大の対象となる企業等 |
|---|---|
| 2027年9月まで | 51人以上 |
| 2027年10月から | 36人以上 |
| 2029年10月から | 21人以上 |
| 2032年10月から | 11人以上 |
| 2035年10月から | 企業規模要件を撤廃 |
たとえば、厚生年金保険の被保険者数が40人の企業であれば、現在は企業規模要件を満たしていませんが、2027年10月からは対象となる可能性があります。
同様に、25人の企業であれば2029年10月から、15人の企業であれば2032年10月から対象となる可能性があります。
「うちは51人未満だから関係ない」とは言えなくなる
企業規模要件の縮小・撤廃によって、今後はより小規模な企業にも短時間労働者への社会保険の適用が広がっていきます。
企業規模要件の変更によって新たに対象となる企業では、その時点で働いているパート・アルバイトの労働条件を改めて確認する必要があります。
たとえば、これまで週25時間勤務のパート従業員について、4分の3基準を満たしていないため社会保険に加入していなかったとしても、企業規模要件の変更によって、新たに短時間労働者として加入対象になる可能性があります。
したがって、対象となる時期が近づいたら、「会社が適用拡大の対象になるか」と「どの従業員が加入対象になるか」を分けて確認することが重要です。
最終的には「週20時間」がより重要な基準になる
2026年10月には賃金要件が撤廃される予定で、企業規模要件も2035年10月までに段階的に撤廃されます。
そのため、企業規模要件が完全に撤廃された後は、4分の3基準を満たさない短時間労働者について、企業規模にかかわらず、週の所定労働時間が20時間以上であることなどを確認する制度へと変わっていきます。
ただし、これは「30時間という基準がなくなる」という意味ではありません。
「週30時間」は、通常の労働者が週40時間の場合に4分の3基準から導かれる数字です。
4分の3基準と、4分の3未満の短時間労働者に適用される週20時間以上という要件は、それぞれ別の役割を持っています。
パート・アルバイトの社会保険をケース別に確認
ここまでの内容を、通常の労働者が週40時間・月20日勤務の事業所を例に整理してみましょう。
ケース1 週30時間・月15日勤務の場合
パート従業員が週30時間・月15日勤務であれば、通常の労働者の所定労働時間・所定労働日数の両方が4分の3以上となります。
したがって、4分の3基準を満たし、社会保険の加入対象になります。
ケース2 週25時間勤務・51人以上の企業等の場合
週25時間は、週40時間の4分の3にあたる30時間未満です。
しかし、勤務先が短時間労働者への適用対象となる企業等であれば、週20時間以上などの加入要件を確認します。
その他の要件も満たしていれば、週30時間未満であっても社会保険の加入対象になります。
ケース3 週25時間勤務・51人未満の企業等の場合
4分の3基準を満たしておらず、勤務先も短時間労働者への適用拡大の対象となっていなければ、2026年9月現在、週25時間ということだけを理由に加入対象になるわけではありません。
ただし、任意特定適用事業所となっている場合などは別です。また、今後の企業規模要件の縮小によって、同じ労働条件のまま加入対象になる可能性があります。
ケース4 週18時間勤務の場合
所定労働時間が週18時間で4分の3基準も満たしていない場合、短時間労働者の「週20時間以上」という要件を満たさないため、原則として加入対象にはなりません。
ただし、契約上は週18時間でも、実際には週20時間以上働く状態が続いている場合には注意が必要です。
ケース5 週30時間以上でも月の所定労働日数が4分の3未満の場合
週の所定労働時間が30時間以上でも、月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満であれば、4分の3基準を満たしません。
その場合には、短時間労働者として加入対象になるかを改めて確認します。
このように、「週30時間」という数字だけでは社会保険加入を判断できません。
「週30時間未満にすれば社会保険に入らなくてよい」は要注意
パート・アルバイトの労働条件を決める際、
「社会保険に加入しなくてよいように、週30時間未満にしておこう」
と考えるケースがあるかもしれません。
しかし、週30時間未満にするだけでは社会保険の加入対象から外れるとは限りません。
4分の3基準を満たさなくても、短時間労働者への社会保険の適用対象となる企業等では、週20時間以上などの要件を満たせば社会保険の加入対象になるからです。
従業員本人から「扶養の範囲内で働きたい」「社会保険に加入しない範囲で勤務時間を調整したい」という希望が出ることもあります。
本人の希望を踏まえて労働条件を決めること自体に問題があるわけではありませんが、加入要件を満たせば、本人が希望しなくても原則として社会保険への加入が必要です。
また、雇用契約上の所定労働時間を週20時間未満としていても、恒常的に追加勤務を行い、実際には週20時間以上働く状態が続いている場合には注意が必要です。
会社が確認すべきポイント
パート・アルバイトを雇用している会社では、採用時だけでなく、定期的に社会保険の加入状況を確認しておくことが重要です。
特に確認しておきたいのは、次の点です。
- 通常の労働者の週の所定労働時間と月の所定労働日数
- パート・アルバイトが4分の3基準を満たしていないか
- 自社が短時間労働者への社会保険の適用対象となる企業等か
- 週の所定労働時間が20時間以上になっていないか
- 雇用契約書と実際の勤務時間に大きな違いがないか
- 2か月を超えて雇用される見込みがあるか
- 学生に該当するか
- 今後の制度改正によって新たに対象にならないか
特に注意したいのは、採用時には加入対象でなかった従業員が、その後の労働条件や勤務実態の変化によって加入対象になるケースです。
社会保険の加入判定は、採用時に一度確認して終わりではなく、労働条件や会社の状況が変わったときに再確認することが重要です。
まとめ―20時間と30時間の違いを正しく理解する
「社会保険は週20時間以上なのか、それとも週30時間以上なのか」という疑問について、最も重要なのは、「週20時間」と「週30時間」はそれぞれ異なる場面で使われる基準であるということです。
まず、パート・アルバイトについても、通常の労働者と比べて、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数がともに4分の3以上であれば社会保険の加入対象になります。
通常の労働者が週40時間勤務であれば、その4分の3が週30時間です。
一方、4分の3基準を満たさない場合でも、一定の企業等では、週の所定労働時間が20時間以上であることなど、短時間労働者の加入要件を満たせば社会保険の加入対象になります。
したがって、
① 4分の3基準を確認する
↓
② 4分の3未満の場合は、短時間労働者への社会保険の適用対象となる企業等かを確認する
↓
③ 対象となる場合は、週20時間以上などの加入要件を確認する
という順序で考えると分かりやすいでしょう。
さらに、2026年10月には月額8.8万円以上という賃金要件が撤廃される予定で、企業規模要件についても2027年10月以降段階的に縮小され、2035年10月には撤廃される予定です。
今後はより多くの企業で「週20時間以上」という基準を確認する必要があります。
「20時間」「30時間」「106万円」「130万円」といった数字だけを見るのではなく、どの制度の、何を判断するための基準なのかを整理して考えることが重要です。
パート・アルバイトの社会保険加入で判断に迷ったら
社会保険の加入要件は、「週20時間」「週30時間」という数字だけでは判断できません。
通常の労働者の所定労働時間・所定労働日数、企業規模、雇用契約、実際の勤務状況などを確認する必要があります。
また、今後は短時間労働者への社会保険の適用範囲が段階的に広がるため、これまで加入対象ではなかった企業や従業員についても、改めて確認が必要になる場合があります。
荻生労務研究所では、パート・アルバイトの社会保険加入、労働時間の変更に伴う資格取得、社会保険の適用拡大への対応など、企業の労務管理に関するご相談を承っています。
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参考情報
この記事の作成にあたっては、厚生労働省・日本年金機構が公表している情報を参考にしています。
- 厚生労働省「社会保険加入の対象者」
- 厚生労働省「短時間労働者への適用拡大」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大 Q&A」
- 厚生労働省「年収の壁への対応」
- 厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方」
- 日本年金機構「短時間労働者の資格取得の要件」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」

