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相談事例

名ばかり管理職に注意!未払い残業代リスクと企業が取るべき対策

「うちは部長だから管理監督者で大丈夫」…それ、本当に大丈夫ですか?

「部長として採用し、管理監督者であることを本人も了承して入社した」「就業規則にも管理監督者は残業代なしと定めている」。このように企業としての対応は万全だと思っていたにもかかわらず、後になって「未払い残業代がある」と請求を受けるケースが、実際に多発しています。

これは決してレアなトラブルではありません。とくにスタートアップや中小企業においては、労務管理のリソースが足りない中で「名ばかり管理職」を生み出してしまうリスクが潜んでいます。

「管理職=管理監督者」ではないという現実

「部長」や「課長」といった肩書きがあるだけで、「管理監督者」とみなすのは大きな誤解です。

労働基準法上の「管理監督者」とは、単に管理職的な立場にある人のことではなく、以下のような厳しい条件を満たす必要があります。

  • 経営者と一体的な立場といえる裁量権をもっていること(業務遂行・人事・採用等の決定権があるなど)
  • 労働時間の管理を受けず、自身の裁量で労働時間を決めて勤務することが認められていること(出退勤の自由があるなど)
  • その地位にふさわしい待遇(高額な給与など)を受けていること

このような実態が伴わない場合、「管理監督者」とは認められず、残業代や休日出勤手当を請求されるリスクが生じます。

部長なのに残業代請求!?実際にあった相談事例

ある企業で、部長職として中途採用された人物が、入社から数ヶ月後に「残業代が支払われていない」と主張。企業側は、「本人の同意もあり、就業規則にも明記していた」と反論しました。

しかし、実際に勤務実態を確認してみると…

  • 出退勤時間が厳格に管理されていた
  • 業務決定における最終権限は上長(役員)にあり、独立して決裁できなかった
  • 給与水準も他の一般社員と大きな差はなかった

という実情が明らかになりました。結果的に、労働基準監督署からは「管理監督者に該当しない」と判断され、企業側は未払い残業代の支払いを余儀なくされました。

誤解を防ぐために企業が今すぐすべきこと

このような事態を防ぐには、以下の点を見直すことが重要です。

1. 「管理監督者」の定義を再確認

労基法および裁判例に基づく定義を社内で共有し、「肩書き」で判断しない体制づくりが必要です。

2. 雇用契約・就業規則の見直し

単に「管理監督者」と記載するのではなく、具体的な勤務実態・裁量範囲との整合性を確保しましょう。

 3. 勤怠管理の実態を可視化

仮に管理監督者とされている人が、他の社員と同様にタイムカードで出退勤を管理されている場合、それだけで否定的判断につながるおそれがあります。

4. 労務リスクの事前チェック

IPO準備中の企業やM&Aを控えているスタートアップ・ベンチャー企業では、管理監督者性の誤解による未払い残業代が重大なリスク要因となり得ます。早めの労務監査が不可欠です。

早めの相談がトラブル回避への第一歩

名ばかり管理職問題は、企業の成長段階でしばしば見落とされがちですが、放置すると高額な残業代請求や労働基準監督署の是正勧告・是正指導につながるリスクがあります。

「うちは大丈夫」と思っていても、実際に見直してみると危うい運用がなされているケースは少なくありません。労務リスクを最小限に抑えるためにも、まずは専門家へ気軽にご相談ください。

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