最低賃金引上げ直前対策|業務改善助成金で「賃上げできる会社」に

今年も来る、最低賃金引き上げの波
最低賃金の引き上げは、もはや毎年の恒例行事となっています。令和7年度も例外ではなく、大幅な引き上げが予想されています。この流れに乗り遅れることは、企業の人材確保やブランドイメージの面でも大きな損失につながります。
とはいえ、急な賃上げに対応できる企業はそう多くありません。「人件費をどう賄えばいいのか?」「どこに相談すればいいのか分からない」——そんなお悩みに応えるのが、本記事のテーマ「業務改善助成金」です。
賃上げのカギは“生産性向上”にあり
最低賃金の引き上げに対応するには、単純に給与だけを上げればよいわけではありません。その原資となるのは売上であり、同じ人員・同じ労働時間で売上を増やす、つまり“生産性の向上”が避けて通れない課題となります。
では、生産性をどう高めるか。その答えは「業務への投資」にあります。ITツールの導入や設備の更新、業務フローの見直しなどにより、従業員一人ひとりの生産性を底上げする必要があります。しかし、こうした投資には当然コストがかかります。ここで活用したいのが「業務改善助成金」です。
設備投資に助成金が使えるって知ってましたか?
業務改善助成金は、社内の最低賃金を一定額以上引き上げることを条件に、生産性向上のための設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度です。
たとえば、
- 古いレジを最新型に更新する
- 手書きの勤怠管理をクラウドシステムに移行する
- 手作業の受発注業務をデジタル化する
といった取り組みが助成対象となります。
助成率は費用の4分の3〜最大5分の4、支給上限は最大600万円と、非常に手厚い内容です。これまでも多くの中小企業がこの制度を活用して、「賃上げできる会社」への転換を実現してきました。
令和7年度は対応スケジュールが前倒し!
今年度の注意点として、業務改善助成金の手続きスケジュールが、例年よりも早まることが挙げられます。つまり、従来よりも早く準備を始めなければ、助成金の申請が間に合わなくなる可能性があるということです。
令和7年度は、業務改善助成金の申請が、第1期と第2期に分かれます。
最低賃金の引上げのタイミングで、賃上げを行う場合は、第2期で手続きを進めることになります。
申請期間 | 賃金引き上げ期間 |
---|---|
第1期 令和7年4月14日~令和7年6月13日 |
令和7年5月1日~令和7年6月30日 |
第2期 令和7年6月14日~ 申請事業場に適用される地域別最低賃金改定日の前日 |
令和7年7月1日~ 申請事業場に適用される地域別最低賃金改定日の前日 |
※第3期以降を実施する場合は、助成金のホームページで公開されます。
最低賃金引上げに合わせる場合、申請書の提出と賃上げを、最低賃金が発表されてから発効する日の前日までに進めなければなりません。
最低賃金は8月下旬から9月上旬にかけて決まり、概ね10月1日に改定されますので、余裕がありません。
助成金の活用には「事前の計画」と「適切な申請手続き」が不可欠です。どのような投資が助成対象になるのか、スケジュール管理はどうするか、書類はどう準備するか——これらを自力で進めるのは非常に大変です。ここで、社労士の出番です。
“賃上げできる会社”になるために、今すぐ動こう
最低賃金の引き上げは、もはや企業の規模を問わず避けられない時代の流れです。生産性を高め、賃上げに対応し、従業員の定着や採用力を高めることが、今後の成長に直結します。
業務改善助成金は、その一歩を後押ししてくれる力強い制度です。とはいえ、タイミングを逃せば活用は難しくなります。
「うちの会社でも申請できるのか?」「どこから手を付ければいいのか?」そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談くださいそんな疑問をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、最適な対応プランをご提案し、賃上げに対応できる強い組織づくりをサポートいたします。
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