「賃上げ」と「生産性向上」を両立!熊本労働局が紹介する業務改善助成金の活用事例とは

中小企業が直面する「人手不足」と「賃上げ」の両立。その突破口として注目されているのが、「業務改善助成金」です。熊本労働局が県内の成功事例をまとめたパンフレットを公開しました。今回は、その中から注目の事例をご紹介しながら、助成金活用のポイントを解説します。
業務改善助成金とは?
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が、事業場内で最も低い賃金(=事業場内最低賃金)を引き上げ、設備投資等を行う場合に、その費用の一部を助成する制度です。厚生労働省は2025年度からこの助成金を「賃上げ支援パッケージ」の一環として推進しており、熊本労働局では実際の事例を紹介するパンフレットを作成し、活用を促進しています。
フードプリンターで効率化&賃上げを実現(食品製造業)
たとえば、ある食品製造業では、クッキーにイラストや企業ロゴを印刷する工程を手作業で行っており、1枚あたり5分かかっていました。フードプリンター導入後は、1分間に12枚の印刷が可能となり、劇的な効率化を実現。
【成果】
– 最低賃金を90円引上げ
– 設備投資額:674万円
– 助成金支給額:600万円 ※令和6年度の助成率に基づく実績
このように、高額な設備投資でも助成金がしっかりと支援することで、「人手不足」「業務効率化」「賃上げ」という三重の課題に対応できます。
他にもこんな事例が(熊本県内)
- 建設業:鉄筋結束機導入 → 賃上げ45円、設備投資90万円、助成額81万円※
- 飲食業:自動釣銭機導入 → 賃上げ45円、設備投資86万円、助成額69万円
- 清掃業:基幹業務システム導入 → 賃上げ45円、設備投資80万円、助成額64万円
- 美容業:シャンプーボウル格納式カット椅子導入→賃上げ90円、設備投資215万円、助成額170万円
- 介護業:介護リフト導入 → 賃上げ60円、設備投資220万円、助成額181万円
- 観光業:顧客管理システム導入 → 賃上げ90円、設備投資750万円、助成額600万円※
※令和6年度の助成率に基づく実績
社労士の視点:申請前にやるべき「3つの準備」
1. 現状把握:作業時間や人件費、業務フローを数値で可視化。社内の賃金状況、雇用契約の確認
2. 改善策の選定:助成金の対象となる設備投資やシステム導入の選定
3. 専門家への相談:社労士の支援で、申請手続きの負担を軽減
まとめ:今こそ「攻めの賃上げ」に助成金を活用しよう
熊本県内でも数多くの成功事例が出ています。単なるコスト削減でなく、「働きやすさ」と「生産性」を両立させた先には、定着率の向上や企業ブランドの向上といった副次効果も期待できます。
当事務所でも申請支援を行っています。お気軽にご相談ください。
参考情報
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