3年以内に全企業でストレスチェック義務化へ 「心の健康づくり計画」と今、何を始めるべきか

2025年、ついにすべての企業で「ストレスチェック制度」の実施が3年以内に義務化される法改正が成立しました。
これにより、従業員50人未満の事業所にも、対応が求められるようになります。
今回は、横浜北労働基準監督署の講習会で紹介された「心の健康づくり計画」と併せて、熊本の中小企業が今から備えるべきメンタルヘルス対策について解説します。
ストレスチェック義務化の背景と内容
これまでストレスチェック制度は、従業員50人以上の事業所に限って義務づけられていました。
しかし厚生労働省は、労働者の心の健康の維持が生産性や職場定着に直結するとの観点から、今後は全事業所を対象に義務化を進める方向で、法改正を行いました。
これは特に中小・零細企業にも影響を及ぼす改正であり、準備が遅れると「形だけの実施」や「対応コスト増」に陥るリスクもあるため、早めの取り組みが重要です。
「心の健康づくり計画」とは何か?
このような動きに呼応するように、横浜北労基署では6月、「心の健康づくり計画」の策定をテーマにした講習会が開催されました。
これは厚労省の指針に基づき、企業が自主的に従業員のメンタルヘルス保持に向けて年間を通して計画的に取り組むためのものです。
実際の講習では、
- 月別に「やるべきこと」を記入するシートを活用し、
- 例:「10月に支援機関へ相談」など、現場に合わせた柔軟な内容で
- 計画の立て方を具体的に学ぶ形式が取られました。
講師からは、「すぐ実行できるレベルから始めるべき。敷居は高くない」とのメッセージが伝えられています。
熊本の中小企業にとっての実践ポイント
当事務所でも、熊本県内の多くの経営者から「何から手をつければいいか分からない」という声を聞きます。
そこで、以下のアプローチをおすすめしています:
- 「今の職場の状態」を簡単に棚卸し
- 産業保健総合支援センターや社労士に相談して、計画の「たたき台」をつくる
- ストレスチェックと並行して、「心の健康づくり計画」を組み込む
- 「周知・相談しやすい環境づくり」など、小さな取り組みから始める
ストレスチェックを「義務としてこなす」のではなく、社員の安心・定着につなげる好機とするためにも、計画的な対応が今求められています。
まとめ
2025年の法改正を前に、全企業が「心の健康」と向き合う時代が到来しています。
制度対応だけに追われるのではなく、計画的に・無理なく・現場に合った形で。メンタルヘルス対策を始めましょう。
当事務所では、熊本の中小企業向けに、
- 「ストレスチェック義務化」への準備支援
- 「心の健康づくり計画」作成のサポート
- 産業保健機関との連携支援
を行っています。
初回相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
関連記事
-
「良かれと思って」が命取りに?発達障害社員の情報共有で起きた労務トラブル 「良かれと思って」が命取りに?発達障害社員の情報共有で起きた労務トラブル -
精神障害の労災支給が過去最多に カスタマーハラスメント対応が企業の喫緊課題に 精神障害の労災支給が過去最多に カスタマーハラスメント対応が企業の喫緊課題に -
裁判例評釈【アムール他事件 フリーランスへのセクハラ・パワハラ防止および安全配慮義務】 裁判例評釈【アムール他事件 フリーランスへのセクハラ・パワハラ防止および安全配慮義務】 -
社長がExcelで勤怠管理?スタートアップに潜む労務リスクとは 社長がExcelで勤怠管理?スタートアップに潜む労務リスクとは -
40代から始める「転倒防止対策」 労災の3割を占める「見えにくいリスク」とは? 40代から始める「転倒防止対策」 労災の3割を占める「見えにくいリスク」とは? -
地域インフラに潜む「人材不足」の影響 肥薩おれんじ鉄道の減便に見る、地方企業の課題とは 地域インフラに潜む「人材不足」の影響 肥薩おれんじ鉄道の減便に見る、地方企業の課題とは