「間接的暴言」が職場にもたらす見えない損失とは?熊本県内中小企業が“いま”向き合うべきハラスメント対策

ハラスメントの問題は、当事者間だけの話ではありません。近くで「聞こえてしまった」だけの従業員にも、抑うつ・睡眠障害といった健康リスクが生じ、生産性低下につながるという研究結果が示されています。
本記事では、熊本県内の中小企業にとって特に重要となる「間接的暴言」の影響と、経営リスクを抑えるための実務対応を解説します。
「間接的暴言」が健康障害を引き起こすという事実
労働安全衛生総合研究所の西村主任研究員は、「暴言は直接言われた本人だけの問題ではない」と指摘します。
職場で飛び交う暴言を“聞いただけ”でも、以下の症状が発生する可能性があります。
– 抑うつ状態
– 睡眠障害(質・量の低下)
– 意欲の低下、生産性の悪化
特に睡眠障害は、仕事の能力を否定する言葉(例:「使えない」「辞めろ」)によって顕著に悪化し、翌日のパフォーマンスや長期的なメンタルヘルスに影響を及ぼすとされています。
中小企業では、人数が少ない分、職場の空気が業績へ直結しやすく、「間接的暴言」の影響はより深刻になりやすいといえます。
暴言の内容によってリスクは異なる
研究では、暴言を次の4類型に分類し、それぞれが心身へ与える影響を検証しています。
1. 人格・容姿への攻撃(例:バカ、アホ、デブ)
2. 殺害・脅迫系(例:死ね、殺す)
3. 仕事の能力否定(例:使えない、辞めろ)
4. その他
最も「抑うつリスク」が高かったのは、②の脅迫系。
一方、③の能力否定は「睡眠障害」を強く誘発。
つまり、内容によって従業員の心身に異なるダメージを与え、それが組織全体の生産性低下へ波及していきます。
なぜ中小企業ほど注意が必要なのか
熊本県内の中小企業では、以下の特徴から、間接的暴言が職場全体に広がりやすくなります。
– 少人数で働くため、暴言が全員に共有される
– 役職者の言動が組織風土に与える影響が大きい
– 生産性の低下が即業績に跳ね返りやすい
– ハラスメント相談窓口が十分に機能しないことも多い
一人の言動が“組織の空気”を大きく変える点は、中小企業こそ注意すべきポイントです。
経営者が今すぐできる「3つの対策」
間接的暴言を防ぐには、制度よりも“日常の運用”が重要です。
① 「言い方」よりも「関係性」を整える
同じ指摘でも、信頼関係があるかどうかで受け止め方は変わります。
・1on1の定期化
・成果と行動をセットで評価する
など、日頃のコミュニケーションが予防策になります。
② 「つながらない権利」の徹底
勤務時間外の連絡が続くと、心理的距離(デタッチメント)が保てず、翌日の回復が妨げられます。
社内ルールで明確化し、管理職研修で徹底することが効果的です。
③ 不機嫌ハラスメント(フキハラ)への認識を共有する
「怒鳴らないから大丈夫」という時代ではありません。
表情・態度・空気感もまたハラスメントとなり得ます。
組織で共通の言葉として認識することで、早期発見・早期対応につながります。
まとめ:ハラスメント対策は“生産性投資”
暴言やネガティブな言動は、当事者だけでなく職場の大多数を巻き込み、生産性を蝕みます。
中小企業にとっては、休職・離職リスク、採用難など、経営に直結する課題へ発展しかねません。
今こそ、ハラスメントを「コスト」ではなく、「組織の未来を守る投資」として捉えることが重要です。
当事務所でも、
・ハラスメント教育
・管理職研修
・相談窓口の設計
・労務リスク診断
など、中小企業向けの伴走支援を行っています。
職場改善を進めたい企業様は、どうぞお気軽にご相談ください
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