2025年4月に遡って通勤手当の非課税限度額が引き上げに|年末調整での対応が必要です

熊本県内の中小企業経営者の皆様へ
2025年4月1日以降に遡って、自家用車や自転車で通勤する従業員に支払う「通勤手当」の非課税限度額が引き上げられました。年末調整や賃金規程の見直しが必要になるケースもあり、実務対応が求められます。今回は、国税庁の発表内容をもとに、実務上の注意点を社会保険労務士の視点から解説します。
非課税限度額が最大22.5%引き上げに
今回の改正は、2025年11月19日に公布、11月20日に施行されました。
自動車・自転車通勤者を対象に、通勤距離に応じて非課税限度額が0~22.5%引き上げられています。
例:片道55km以上 → 31,600円 → 38,700円(7,100円増)
公共交通機関による通勤者の限度額には変更はありません。
適用対象は「4月1日以後に支払われる通勤手当」
改正後の非課税限度額が適用されるのは、「2025年4月1日以後に支払われるべき通勤手当」に限定されます。
ポイントは「支払日」基準です。以下のような扱いになります:
– 3月に4月分を前払い → 改正前の限度額が適用
– 4月に3月分を後払い → 改正後の限度額が適用
年末調整での精算が必要な場合も
すでに改正前の限度額で源泉徴収していた場合は、年末調整時に新たに非課税となる分を精算する必要があります。
対応例:
– 源泉徴収簿の余白に「非課税となる通勤手当」と明記し、その金額と根拠を記載
– 総支給額から非課税分を差し引いて記入
– 給与ソフト未対応など、余白へ記入できない場合は、省略も可
また、中途退職者については確定申告による精算が必要となり、すでに源泉徴収票を交付済みの場合は再発行が求められるケースもあります。
企業として検討すべき実務対応
中小企業の経営者・人事担当者として、以下の点を早めにご確認ください:
1. 通勤手当の支給額が非課税限度額を上回っていないか
2. 賃金規程・就業規則に記載の通勤手当基準が最新であるか
3. 年末調整時の給与ソフトや処理フローが対応しているか
4. 中途退職者への対応準備ができているか
まとめ
今回の改正は「2025年4月からの遡及適用」であるため、年末調整時の対応に遅れが生じやすくなります。
労務・税務の双方にまたがるテーマのため、必要に応じて税理士・社労士との連携をおすすめします。
当事務所では、熊本県内企業の年末調整・通勤手当の実務相談も承っております。お気軽にご相談ください。
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