顧問契約をしていないと労務トラブル時に不利になりますか?
顧問契約をしていないと労務トラブル時に不利になる?知らないと危ない企業リスク
企業経営を続ける中で、避けて通れないのが「労務トラブル」です。解雇・残業・ハラスメント・未払い賃金など、どんなに小規模な会社でも起こり得る問題です。こうしたときに「顧問契約をしていないと不利になるのか?」という疑問を持つ経営者は多くいます。特に、創業間もない企業や従業員数が少ない事業所では、社労士との顧問契約を結ぶべきか悩むケースが目立ちます。
結論:顧問契約がないと、労務トラブル時の対応が遅れやすく不利になることが多い
結論から言えば、「顧問契約をしていない場合、労務トラブル時に不利になる可能性は高い」と言えます。なぜなら、トラブル発生時にすぐ相談できる専門家がいないため、初期対応を誤って問題が拡大するリスクがあるからです。
たとえば、従業員から突然「不当解雇だ」と労基署に申告された場合、社労士の顧問がいればすぐに事実関係を整理し、法的に妥当な対応策を取ることができます。しかし顧問がいない場合、インターネットの情報を頼りに独自判断をしてしまい、結果として会社側が不利な証拠を残してしまうケースが少なくありません。
労務トラブルは「初動対応」で勝負が決まる
労務トラブルの多くは、発生後の「最初の対応」で形勢が決まります。
・感情的な発言をしてしまい、後で録音を証拠にされる
・文書を残していなかったため、会社の正当性を立証できない
・就業規則が整備されておらず、ルールの根拠を示せない
こうした事態は、顧問契約をしていれば事前に防げるものばかりです。顧問社労士は、就業規則や雇用契約書の整備、日常的な労務相談を通じて「トラブルを未然に防ぐ仕組み」を構築してくれます。
顧問契約がなくても相談はできるが、緊急時には限界がある
もちろん、顧問契約をしていなくても「スポット相談」や「単発依頼」で社労士に相談することは可能です。ただし、トラブル発生後の緊急相談では、社労士が会社の状況や過去の経緯を把握していないため、十分な対応策を立てにくいという課題があります。
一方、顧問契約がある場合は、日頃から会社の体制や従業員の関係性を理解しているため、最適な判断をスピーディに行えます。特に労働審判や労基署調査のような場面では、この「情報の蓄積」が大きな差になります。
よくある誤解:「トラブルが起きてから頼めばいい」は危険
中小企業経営者の中には、「問題が起きたらそのとき相談すればいい」と考える人もいます。しかし、実際にトラブルが起きてからでは「証拠が残っていない」「制度が整っていない」といった理由で、社労士が支援しても取り返しがつかないことがあります。
たとえば、時間外労働の管理が曖昧だった場合、従業員からの未払い残業請求で過去3年分を遡って支払わざるを得ないこともあります。顧問契約を結んで定期的に監査を受けていれば、こうした問題は事前に修正可能です。
実務での注意点:顧問契約の内容と費用を明確に
顧問契約を結ぶ際には、「月額費用」「対応範囲」「緊急時のサポート内容」を明確にしておくことが重要です。
一般的には、月額1万〜3万円程度で労務相談・書類チェック・就業規則改定などを含むプランが多いですが、企業規模や業種によって変動します。契約前に「何をどこまでサポートしてもらえるか」を確認しておくと安心です。
士業による支援:社労士の顧問契約で得られるメリット
社会保険労務士は、労務管理の専門家として企業と従業員の橋渡し役を担います。顧問契約を結ぶことで、
・労働基準法や社会保険制度の最新情報を常にアップデート
・トラブル発生時に即座に対応方針を提示
・労務監査や労基署対応の代行・立会い
・助成金申請などの業務効率化支援
といった包括的なサポートを受けることができます。単なる「相談役」ではなく、経営を安定させるパートナーとしての存在価値が高いのです。
まとめ:平時からの備えが最大の防御
労務トラブルは「起きてから対応」ではなく「起きないように整える」ことが何より重要です。顧問契約を結んでおくことで、問題の芽を早期に摘み、発生時にも迅速かつ適切な対応が可能になります。特に人を雇う企業であれば、顧問社労士を持つことは「保険」としての価値が非常に高いといえるでしょう。
初回相談を無料で行う社労士事務所も多いため、まずは一度、自社の労務体制について専門家に相談してみることをおすすめします。
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