熊本県の小規模企業でも進む「防衛的賃上げ」平均9,568円アップの背景とこれからの対策とは?

2025年度の賃上げに関する全国調査で、小規模企業でも半数以上が賃上げを実施する意向であることが分かりました。熊本県の中小企業経営者として、今このタイミングで「賃上げの流れ」をどう捉え、どう向き合うべきか──。社会保険労務士の視点から解説します。
賃上げ実施は7割、小規模企業でも57.7%が対応へ
日本商工会議所が実施した2025年の中小企業賃上げ調査によれば、全国の中小企業のうち約7割(69.6%)が賃上げを実施または予定しています。特に注目すべきは、従業員20人以下の「小規模企業」でも57.7%が賃上げに踏み切る見通しである点です。
熊本県内でも、業績の伸び悩みや資材高騰といった厳しい経営環境の中で、「防衛的賃上げ」を選択する企業が増えている印象があります。
小規模企業の平均賃上げ額は9,568円、率にして3.54%
今回の調査では、正社員の平均賃上げ額は11,074円(前年比+0.41ポイント)。小規模企業に限ると9,568円、賃上げ率は3.54%にとどまるものの、昨年から確実に伸びています。
とくに「地方×小規模」では、平均賃上げ額は9,269円、賃上げ率は3.55%とさらに低い水準。都市部との格差は広がっており、熊本県内の多くの事業者もこのゾーンに該当します。
「防衛的賃上げ」が6割を超える現実
注目すべきは、業績が芳しくない企業でも、人材流出を避けるために「賃上げせざるを得ない」という防衛的な判断が増えていること。調査では全体の60.1%がこのパターンに該当しています。
私自身の労務相談でも、「売上が上がっていないが、求人の応募がない」「辞められたら困る」という切実な声が増えています。
これから必要な「生産性と収益性の底上げ」
賃上げは「一過性の流行」ではなく、構造的な流れです。最低賃金の上昇、初任給の引き上げ、中途採用市場の活発化など、企業は“賃上げを前提とした経営”にシフトしていく必要があります。
そのために今こそ取り組むべきは、生産性と収益性の見直しです。具体的には、
- 労働時間管理の徹底
- 業務フローの見直し
- 人材の適正配置と定着策
- 助成金の活用 など
当事務所では、こうした経営視点での労務サポートを強化しています。お気軽にご相談ください。
熊本県内の小規模企業も含めて、賃上げは避けられない時代です。「今やるべき賃上げ」「やれるための仕組みづくり」を、労務のプロと共に考えてみませんか?
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