最低賃金、再び大幅引上げへ?今年も注目の中賃審が始動

熊本県を含む全国の中小企業にとって、労務コストの変動は経営に直結する大きなテーマです。先日、2025年度の最低賃金引き上げに関する議論が中央最低賃金審議会で始まりました。昨年を上回る引き上げとなる可能性もあり、今後の経営計画に影響を及ぼす動きです。今回は、最新の議論状況とともに、熊本県の経営者が今から備えておくべき視点を解説します。
中央最低賃金審議会が議論スタート
2025年7月11日、厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会(中賃審)とその小委員会が開催され、今年度の最低賃金改定に向けた議論が始まりました。政府は「2020年代に全国平均1,500円」を目指す方針を掲げており、この目標に沿って議論が進められます。
昨年度は、全国加重平均で51円という過去最大の引上げが実施され、現在の地域別最低賃金は全国平均で1,055円となっています。今年度も、90円前後の引き上げが必要との試算が示されており、昨年以上の引き上げ幅が焦点になる見込みです。
地域間格差の是正も議題に
最賃の地域間格差にも注目が集まっています。現在、最高額(東京都:1,163円)と最低額(秋田県:951円)では212円の差があり、最低額は最高額の約81.8%にとどまっています。政府はこの格差是正も重要な課題としており、地方の最低賃金が相対的に大きく引き上げられる可能性も否定できません。
熊本県の経営者が備えるべきこと
熊本県の最低賃金は、2024年10月5日から時給952円に引き上げられました(前年度比+54円)。仮に今年度も同等またはそれ以上の引き上げが行われた場合、2025年度の最低賃金は1,000円台に達する可能性も視野に入ってきます。
最低賃金の上昇は、特に人件費率が高い小売・介護・サービス業に大きな影響を与えます。業務の効率化や価格転嫁の見直しといった対応を検討する必要があります。
まとめ:早めの情報収集と戦略的な対応を
最低賃金の改定は例年、8月中旬~下旬に正式決定され、10月に適用されます。わずか数ヶ月での準備が求められるため、今の段階から情報をキャッチアップし、人件費シミュレーションを進めておくことが重要です。
当事務所では、最低賃金改定に関する最新情報の提供だけでなく、自社にとって最適な雇用設計の相談も承っております。熊本の経営者の皆様が、将来に備えて持続可能な経営を実現できるよう、引き続き支援してまいります。
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