熊本県では、人件費高騰や深刻な人材不足に直面する中小企業・個人事業主を支援するため、「短期間・短時間雇用応援助成事業」の受付が令和8年6月1日から開始されました。
スポットワークの活用や短時間正社員制度の導入・活用に対して助成金が支給される制度であり、人材確保に悩む企業にとって非常に活用価値の高い内容となっています。
今回は、社会保険労務士の視点から制度の概要と活用ポイントを解説します。
目次
■ 人手不足時代に求められる「多様な働き方」
近年、多くの中小企業では採用難が続いています。
・求人を出しても応募が来ない
・フルタイム勤務を希望する人材が減少している
・育児や介護との両立を希望する求職者が増えている
こうした環境変化の中で注目されているのが、
「必要な時に必要な人材を確保する」
「働く人の事情に合わせた柔軟な雇用を実現する」
という考え方です。
今回の助成事業は、まさにこうした時代の流れに対応するために創設された制度といえるでしょう。
■ 助成金① スポットワーク活用助成金
まず注目したいのがスポットワーク活用助成金です。
対象となるスポットワーク仲介サービスを利用した際に支払う手数料の一部が助成されます。
【助成内容】
・対象手数料の4分の3を助成
・上限30万円
対象期間は令和8年4月1日から令和8年12月31日までです。
近年、飲食業、小売業、物流業、イベント関連業種などでは、スポットワークサービスを活用して繁忙期の人員不足を補うケースが増えています。
「まずは短時間だけ働いてもらう」
「将来的な採用候補として接点を作る」
という活用方法も可能です。
■ 助成金② 短時間正社員制度導入助成金
次に、より長期的な人材確保につながる制度が短時間正社員制度導入助成金です。
【制度導入助成】
短時間正社員制度を新たに就業規則へ規定するために、社会保険労務士などへ支払った費用の4分の3を助成
・上限10万円
【転換・新規雇用助成】
制度を活用して
・既存社員を短時間正社員へ転換
または
・外部から短時間正社員として採用
した場合
・1人あたり10万円
・最大3名まで
助成されます。
■ 経営者が注目すべき「短時間正社員制度」とは
短時間正社員制度とは、フルタイム正社員より所定労働時間を短く設定しながらも、期間の定めのない正社員として雇用する仕組みです。
例えば、
・育児中の社員
・介護を担う社員
・体力面に不安のあるベテラン社員
・副業や学び直しを希望する人材
などが働き続けやすくなります。
人材確保だけでなく、
・離職防止
・採用力向上
・女性活躍推進
・高齢者雇用促進
にもつながるため、今後ますます重要になる制度といえるでしょう。
■ 社会保険労務士から見た活用のポイント
今回の助成金で特に評価できる点は、「単なる人件費補填」ではなく、企業の雇用制度改革を後押ししていることです。
短時間正社員制度は、一度整備すれば継続的な採用力向上につながります。
また、スポットワークの活用によって、
「本当に必要な業務量はどれくらいか」
「将来的に正社員化できる人材がいるか」
を見極める機会にもなります。
人材不足対策は、求人広告を出すだけでは解決しない時代です。
今後は、
・柔軟な勤務制度の整備
・多様な人材の活用
・定着支援
を組み合わせた経営戦略が重要になります。
■ 申請は早めがおすすめ
今回の助成金は予算上限に達した時点で受付終了となります。
利用を検討されている事業者は、早めの情報収集と準備をおすすめします。
また、制度導入にあたっては就業規則の整備や運用ルールの検討が必要になりますので、専門家への相談も有効です。
■ まとめ
熊本県の「短期間・短時間雇用応援助成事業」は、
・スポットワーク活用
・短時間正社員制度導入
・短時間正社員への転換や採用
を支援する非常に実務的な助成制度です。
人手不足に悩む企業にとっては、採用・定着・働き方改革を同時に進める絶好の機会となります。
当事務所でも、短時間正社員制度の導入支援や就業規則の整備、人材定着に関するご相談を承っております。
制度活用をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
参考情報
熊本県ホームページ【助成金申請受付中】短期間・短時間雇用応援助成事業について
https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/62/269321.html

