令和8年熊本地震により、お亡くなりになられた方々へ心よりお悔やみ申し上げます。また、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
現在も救助活動やライフラインの復旧が最優先であり、一日も早く日常を取り戻せることを願っています。
その一方で、地域経済の再建という視点では、企業活動の再開と雇用の維持が極めて重要な課題となります。
東京商工リサーチの調査によると、震度6弱以上を観測した地域に本社を置く企業は15,374社、従業員数は109,132人にのぼることが明らかになりました。
これは単なる企業数ではありません。10万人を超える「働く人」と、その家族の生活にも大きく関わる数字です。
被災企業は15,374社、従業員は10万人超
東京商工リサーチの調査では、対象地域に本社を置く企業の状況は次のとおりです。
- 企業数:15,374社
- 売上高:約2兆9,547億円
- 従業員数:約109,132人
産業別では、
- 製造業
- サービス業
- 建設業
- 卸売業
- 小売業
など、熊本経済を支える幅広い業種が含まれています。
特に近年発展が著しい半導体関連産業や観光産業への影響も懸念されており、サプライチェーンの回復は県内だけでなく全国経済にも影響を及ぼす可能性があります。
復興で最も重要なのは「雇用を守ること」
災害時には建物や設備への注目が集まりがちですが、企業経営において同じくらい重要なのが「人」です。
例えば、
- 従業員が出勤できない
- 給与をどう支払うか
- 休業をどう取り扱うか
- 雇用を維持できるか
- 労災や安全配慮をどう考えるか
といった課題は、多くの企業で同時に発生します。
さらに、復旧が長期化すると、人材流出や離職、採用難など、経営への影響がより深刻になることも少なくありません。
だからこそ、企業が早期に事業を再開し、従業員が安心して働き続けられる環境を整えることが、地域全体の復興につながります。
社会保険労務士にできる復興支援
社会保険労務士は、平時だけでなく災害時にも企業と働く人を支える専門家です。
具体的には、
- 雇用維持に関する制度の活用
- 労働保険・社会保険の各種手続き
- 災害時の労務管理
- 行政支援制度の情報提供
- 復旧・復興期の人事労務相談
- 雇用維持に関する相談(雇用保険特例、雇用調整助成金特例)
など、多くの場面で企業を支援することができます。
災害時には制度も特例措置が講じられることが多く、正確な情報を迅速に把握し、必要な支援につなげることが重要になります。
私自身の考え
私は、社会保険労務士の役割は平時だけでなく、有事にこそ真価が問われるものだと考えています。
災害が発生すると、被災した企業では雇用の維持や労務管理、各種支援制度の活用など、人に関わるさまざまな課題が生じます。そうしたときに、専門家として正確な情報を届け、制度の活用を支え、経営者と働く方々に寄り添うことが、私たち社会保険労務士の重要な役割です。
復興には長い時間を要します。その歩みの中で、一つひとつの課題に誠実に向き合い、地域企業と働く人々が安心して前へ進めるよう支援していくことが、地域に根差す社会保険労務士としての責務だと考えています。
私自身も、その歩みに少しでも貢献できるよう、必要とされる支援を誠実に続けていきたいと思います。
おわりに
企業の復興は、地域の復興そのものです。
そして、企業の復興を支えるのは「人」であり、「雇用」です。
今後、国や自治体からさまざまな支援制度や特例措置が発表されることが予想されます。
当事務所でも、雇用・労務・社会保険に関する最新情報や、経営者の皆様のお役に立つ制度・実務情報を随時発信してまいります。
被災された皆様が一日も早く安心して事業と生活を再建できることを、心よりお祈り申し上げます。
参考記事
東京商工リサーチ TSRデータインサイト
震度6弱以上の被災地域の企業数1万5,374社 売上合計2兆9,547億円、従業員数10万人以上
〜令和8年熊本地震「被災地企業」調査〜(2026年7月29日)
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1203088_1527.html
