鉄道業界が本気で始めた「特定技能」活用 JR東日本の外国人材研修に学ぶ、地方企業の人手不足対策とは?

鉄道分野でも深刻化する人手不足に対応すべく、JR東日本が始めた外国人材の育成研修が注目を集めています。本記事では、その具体的な取り組みを解説するとともに、熊本県内の企業が学ぶべきポイントと、外国人雇用の実務上の視点をお届けします。
鉄道分野にも「特定技能」制度が本格導入
国の予測では、鉄道業界では2028年度に約1.8万人もの人手不足が見込まれています。こうした状況を受け、政府は2023年に「特定技能1号」の対象分野に鉄道を追加。JR東日本はこれに呼応し、海外から人材を受け入れて、鉄道メンテナンス技術を教える研修を開始しました。
この制度の特徴は、「即戦力となる外国人」を受け入れる点にあります。技能実習とは異なり、目的は“労働力確保”。日本語能力や専門技能が一定水準以上であることが求められます。
語学+技能育成の一体型研修に注目
JR東日本の研修は、福島県の総合研修センターで実施されました。ベトナムとインドネシアから来日した25人の研修生は、線路整備や車両整備などの分野に分かれ、約1カ月にわたって日本語による講義を受講。多くが技能実習経験者で、日本語能力も高く、試験合格率も「非常に良好」と報告されています。
同社は、今後は他の鉄道会社も巻き込んだ教育プラットフォームを創設予定。研修費用の全額負担や、就業後の支援体制も含め、制度運用のロールモデルを構築しつつあります。
熊本県内企業への示唆:外国人雇用は「準備」で差がつく
この事例から地方企業が学べる点は多くあります。特に重要なのは以下の3点です。
1. 語学要件の明確化:
特定技能では日本語N4以上が必要。業務内容に即した言語要件の整理が不可欠。
2. 研修体制の整備:
受け入れ前の教育支援や、社内でのOJT設計がカギ。
3. 支援機関との連携:
送出し機関や登録支援機関との協力が実務上のスムーズさを左右します。
特定技能制度は、製造業や介護、農業など幅広い業種に展開されています。熊本県内でも、人材確保に悩む企業にとって有力な選択肢になり得ますが、導入には制度理解と事前準備が不可欠です。
まとめ
JR東日本のような大手の取り組みから地方企業が学べることは少なくありません。「特定技能」制度の活用は、単なる人材確保策ではなく、育成・定着の総合戦略です。熊本での人手不足に悩む企業の皆様も、自社での導入可能性を検討する第一歩として、ぜひ本事例を参考にしてみてください。
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