熊本で進む週休3日制、介護との両立にどう活かす?

「介護があっても、仕事を続けたい。」
熊本県内でも、こうした声を多く聞くようになってきました。
高齢化の進行とともに、「働く世代が介護を担う」ケース――いわゆる“ビジネスケアラー”の増加が社会的な課題となっています。そんな中で注目されているのが、週休3日制をはじめとする柔軟な働き方です。
今回は、熊本市で実際に始まった選択的週休3日制の事例から、介護との両立支援としての可能性を掘り下げてみます。
熊本市の試行事例に見る「介護×週休3日制」の現実
熊本市では、2025年4月からフレックスタイム制度を活用した週休3日制の試行を始めました。
制度の骨子は、「週38時間45分の勤務時間を満たすことを前提に、1日10時間×4日で週3日の休みを取得できる」というものです。
市の担当課の中には、平日の金曜日に休みを取り、趣味の活動とあわせて介護の時間に充てている職員の方もいます。
この職員は、「介護のための休みばかりだと気持ちが沈む。でも、自分のための時間があると、また仕事も頑張れる」と話しています(※個人情報保護の観点から詳細は伏せています)。
このように、「介護+自分の時間+仕事のバランス」を取る柔軟な働き方は、ビジネスケアラーが持続的に働く上での鍵となり得ます。
制度だけでなく、運用と職場文化もカギ
週休3日制を実現するには、単に制度を導入するだけでなく、次のような運用面の工夫も必要です。
- 業務の「見える化」:予定共有アプリで誰がいつ休むかを全体で把握
- コアタイムの設定:10時〜16時など、従業員が必ず出勤する時間帯を設ける
- 決裁の代行体制:「代決(代理決裁)」を前提にしたチーム体制
さらに重要なのは、「休みやすさ」の文化です。上司や同僚が制度を率先して使い、理解と協力を示すことで、初めて制度は機能します。
企業・自治体が取り組む意義とは?
企業や自治体がこうした制度を整備することは、単なる福利厚生ではありません。
- 人材の離職防止
- 経験豊かな中堅層の活用
- 多様性と包摂性のある組織づくり
これらすべてに資する取り組みです。
特に熊本のように、地域コミュニティや家族とのつながりが強いエリアでは、介護と働き方の両立は切実な課題でもあります。
選択肢があることが“救い”になる
週休3日制がすべての人にとってベストとは限りません。でも、「選べる」ということそのものが、多くの人にとって救いになります。
介護や子育て、病気の治療など、働く人が抱える背景は本当にさまざまです。
だからこそ、今後の働き方は「制度の画一性」ではなく「選択の柔軟性」を前提に設計されていくべきだと私は考えます。
熊本から始まったこうした取り組みが、地域全体に広がっていくことを願っています。
当事務所では、介護・育児との両立支援に向けた制度設計・職場改善のご相談もお受けしています。お気軽にお問い合わせください。
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