「就業規則の絶対的必要記載事項」とは何か?労基法との関係を解説
就業規則の絶対的必要記載事項とは?労働基準法との関係
企業が労働者を雇用する際に整備すべき「就業規則」は、職場のルールブックとも言える存在です。中でも「絶対的必要記載事項」は、労働基準法により必ず記載しなければならない項目として定められています。これを正しく理解・整備することは、企業にとっても労働者にとっても重要な意味を持ちます。本記事では、就業規則の絶対的必要記載事項とは何か、その内容や法的根拠、社労士としての実務的な視点も交えて解説します。
就業規則とは何か
就業規則とは、会社の労働条件や職場のルールを定めた文書です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が義務付けられています。これにより、企業と労働者間のトラブルを未然に防ぎ、公平な労務管理が可能となります。
労働基準法と絶対的必要記載事項の関係
労働基準法第89条には、就業規則に記載しなければならない事項が明記されており、その中でも「絶対的必要記載事項」とされるのが以下の6項目です:
1. 始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務の場合の就業時転換に関する事項
2. 賃金の決定、計算・支払方法、賃金の締切および支払時期、昇給に関する事項
3. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
これらは企業の判断にかかわらず、必ず記載しなければならない項目であり、省略や不備があると、労働基準監督署からの是正指導を受ける可能性があります。
なぜ「絶対的」に必要なのか?
これらの項目は、労働者の生活や権利に直結する基本的な労働条件を定めるものであるため、明示されていない場合、労働者の保護が十分に確保できません。また、労使間の認識のズレによるトラブルを防ぐ意味でも、明確かつ具体的な記載が求められます。
社労士の視点:実務上の留意点
社会保険労務士として就業規則の作成・見直しをサポートする際には、まずこれら絶対的必要記載事項に漏れがないかを精査します。特に注意すべき点は、記載内容が現場の実態と乖離していないかという点です。たとえば「始業時刻が9時」と定められているのに、実際は8時半から働いているといったケースでは、労務トラブルの火種になります。
また、「解雇の事由」については、曖昧な表現を避け、合理的かつ具体的な記述が求められます。これは万が一、解雇無効をめぐる訴訟となった場合において、企業側の正当性を担保するためにも極めて重要です。
記載ミスや不足がもたらすリスク
絶対的必要記載事項が未記載、あるいは不備のある状態で就業規則を運用した場合、労働基準法違反となり、是正勧告を受けるだけでなく、労使トラブルが顕在化した際に企業が不利な立場に立たされる可能性があります。例えば、労働者が解雇の無効を主張した場合、就業規則に正当な解雇理由が明記されていなければ、企業側の主張が退けられる恐れもあります。
就業規則作成は専門家のサポートが不可欠
就業規則の絶対的必要記載事項は、企業が労務管理を適正に行うための基本中の基本です。法的義務であると同時に、トラブル回避や職場の信頼構築に直結する要素でもあります。自社の実情に即した内容であるか、定期的に見直し、必要に応じて社労士など専門家のサポートを受けることを強くおすすめします。特に法改正や労働環境の変化があった場合には、速やかな対応が求められます。
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