厚生労働省が「SNS募集」の情報開示ルールを明文化 中小企業が気をつけるべき3つのポイント

SNSを活用して人材募集を行っている企業にとって、見逃せない改正がありました。厚生労働省が2025年7月、「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」を改訂。インターネットやSNS上での求人募集における情報の開示方法が明文化されました。熊本県内の中小企業にとって、どのような実務対応が求められるのか。社会保険労務士の視点で解説します。
SNS採用の時代に問われる「情報の信頼性」
採用広報にInstagramやX(旧Twitter)、YouTubeなどのSNSを活用する中小企業が増えています。特に熊本県内でも、若手人材を獲得する手段としてSNS採用は注目されつつあります。
今回の厚労省による手引改訂では、こうした「SNS採用」にも法的な注意点があることが明確にされました。背景には、いわゆる“闇バイト”など反社会的な募集との混同を防ぐ意図があります。
ポイント1:SNSでも「氏名・住所・連絡先・賃金」明記が必要
SNSで求人情報を発信する場合でも、「募集者の氏名(名称)、住所、連絡先、業務内容、就業場所、賃金」の記載が求められます。
※2 犯罪実行者の募集との誤解を生じさせないよう、インターネットやSNS等で労働者を募集する際には氏名(名称)・住所・連絡先・業務内容・就業場所・賃金を記載する必要がある。
(出典:「求職者等への職場情報提供に当たっての手引 第2版」厚生労働省職業安定局 令和7年5月改定)
例えば「インスタで魅力的な職場風景を投稿しながら『仲間募集中!DMください』」というやり方では、情報が不十分でトラブルの原因になる可能性があります。
ポイント2:古い情報、曖昧な表現はNG
手引では、「長期間更新されていない情報」や「利用実績が明らかでない制度」は見直すべきとされています。
SNS投稿で「福利厚生充実!育休制度あり」などと記載していても、実際に活用実績がなければ、誤解を招く恐れがあるということです。
ポイント3:「職業安定法違反」にならないために
職業安定法では、求人に関して「虚偽の表示」や「誤解を生じさせる表示」が禁止されています。これはWebサイトや求人媒体だけでなく、SNSでも同様に適用されます。
つまり、SNSの投稿も「正式な求人広告」としての責任を持たなければなりません。
まとめ
SNS採用は、中小企業にとって貴重な採用手段ですが、法的責任が問われる時代になりました。情報発信の自由度が高い反面、根拠ある情報提供が不可欠です。
熊本でSNSを活用して採用活動を行う中小企業経営者の皆さま、ぜひこの手引改訂を機に、自社の発信内容を見直してみてください。
当研究所は社会保険労務士として、SNS発信における求人情報の監修や、法的アドバイスも行っております。お気軽にご相談ください。
参考情報
📕厚生労働省作成のリーフレット・チェックリスト
📗資料が掲載されている厚生労働省のサイトはこちら(手引の概要と本文も掲載)
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