雇用調整助成金・新型コロナ特例は11月末まで延長 支給上限額は引き下げの見通し
雇用調整助成金の新型コロナウイルス特例の、11月までの再延長が決まりそうです。
今週中には、厚生労働省の審議会で、正式に決まります。
一方、1日あたりの支給上限額は、10月以降さらに引き下げる方向で、調整が進んでいるとの事です。
10月1日以降は、一般の企業は上限額9,000円から8,355円へ、特例水準は15,000円から12,000円へ引き下げの予定とのことです。
NHK「コロナ影響企業への雇用調整助成金 10月以降に上限引き下げへ」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220826/k10013788761000.html
既に関連行政では、引き下げを視野に入れた動きが、始まっています。
在籍型雇用支援の動きが進む
雇用調整助成金、つまり休業による雇用維持への支援が縮小される一方、これに代わる支援として、在籍型出向による雇用維持が示されています。
熊本の在籍型雇用支援機関の方と、最近話したのですが、熊本では、自治体同士が連携し、休業に頼らない雇用維持を支援する方向で動いています。
これは熊本以外の都道府県でも、同様の動きはありますが、熊本では熊本県と熊本市が協力し、在籍型出向の支援に力を入れておりました。
熊本市ホームページ「出向・副業について」在籍型出向とは?
https://www.city.kumamoto.jp/hpkiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=31424
熊本市ホームページ「出向・副業について」副業とは?
https://www.city.kumamoto.jp/hpkiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=31424
↑動画「コロナ禍における副業の今とこれから」は、私が解説しています。
このように、熊本では県と市に地元求人メディア企業、そして熊本県社会保険労務士会が相互に協力体制を敷き、在籍型出向支援を行っています。
一方で、産業雇用安定助成金の利用は、進んでいないのが現状です。
利用者は助成枠の3割弱に、とどまっているとの事です。
毎日新聞 コロナ禍の「在籍したまま出向」普及を阻む制度の「壁」とは?
https://mainichi.jp/articles/20220426/k00/00m/020/263000c
在籍型出向や産業雇用安定助成金を使った、雇用維持の検討を
記事では雇用調整助成金(雇調金)は、産業雇用安定助成金(産雇金)に比べて助成金の日額が高いとされていますが、雇調金の上限額15,000円は、業況が著しく悪化しているときの拡充特例の金額で、例外的なものです。一般の会社は上限額9,000円(※)と、産雇金を下回ります。
※10月1日以降は8,355円へ減額の見通し
加えて、産雇金は雇調金にはない、以下の特色を持っています。
- 雇調金がカバーできない、在籍型出向を整備する費用も助成の対象であること
- 出向初期経費が、出向者数に応じて、定額で支払われること
産雇金が雇調金よりも、煩雑な手続を求めているのは、カバー範囲が広く手厚いことの、裏返しの面もあります。本来は雇調金も、産雇金と同じくらい手続が煩雑なのですが。
産雇金をうまく使えば、会社の実質負担を10分の1に減らすこともできます。
「産業雇用安定助成金のご案内」より引用 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000735394.pdf
※助成率10分の9は、出向元事業主が労働者の解雇等を行っていない場合に適用
在籍型出向や産業雇用安定助成金は、なるべく早めの準備を
産雇金は、在籍型出向の送り出し企業(出向元)と、受け入れ企業(出向先)とのマッチングが条件です。まず、これに時間がかかります(グループ内出向なら短時間でも組み立てられますが、産雇金の金額が縮小します)。
加えて、出向元と出向先での労働条件その他の調整、ルール整備なども必要です。
私の手がけた範囲では、マッチング先を探し始めてから出向の開始まで、どんなに短くとも2ヶ月はかかっています。早めにご検討ください。
関連情報
厚生労働省 在籍型出向支援 →各県の産業雇用安定センター(マッチング支援機関)の連絡先も載ってます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page06_00001.html
厚生労働省 産業雇用安定助成金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082805_00008.html
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