令和5年 熊本県でのおすすめ助成金① 産業雇用安定助成金 雇用維持支援コース・スキルアップ支援コース
熊本市の社会保険労務士、荻生清高です。
これから、令和5年に熊本県で注目したい助成金を、数回に分けて紹介していきます。
おすすめの活用法も、紹介します。
産業雇用安定助成金
注目する理由
雇用調整助成金・新型コロナウイルス感染症特例は、令和5年3月31日で完全に終了します。
ですが熊本県においては、制度末期の今なお、雇用調整助成金の申請が、続いているのが現状です。
特例が終わったあとの、代替策として最も有望なものが、この産業雇用安定助成金です。
雇用調整助成金・新型コロナ特例を申し込めた事業主は、ほぼ対象に該当
産業雇用安定助成金は、雇用調整助成金・新型コロナ特例の代わりとして、成立した経緯があります。
そのため、雇調金特例を受けていた事業主は、ほぼ産業雇用安定助成金も対象となります。
令和5年度当初予算の成立後、3つのコースに再編
産業雇用安定助成金は、令和5年度当初予算の成立後、3つのコースに再編される方針が決まっています。
従来の産業雇用安定助成金に加え、2つのコースが新設されます。
今回は、その中から雇用維持支援コース・スキルアップ支援コースを取り上げます。
この2つはいずれも、在籍型出向が対象です。
1:雇用維持支援コース
従来の産業雇用安定助成金にあたります。令和4年12月2日から、この名称になりました。
在籍型出向で雇用を維持した場合に、出向元・出向先の両方に、助成金が支払われます。
助成率が雇用調整助成金・新型コロナ特例並みに大きいのが特徴で、双方の企業が支払った賃金の10分の9(中小企業・解雇等無しの場合)の助成、上限も12,000円と高いです。
また賃金だけでなく、就業規則や出向契約書の整備、受け入れ準備に支払った経費なども助成金の対象になります。これは雇用調整助成金にない優遇です。
制度の拡充も行われ、出向元については、支給対象となる労働者数の上限が撤廃されます。
※従来は出向元・出向先とも1年度あたり500人まで
2:スキルアップ支援コース(仮称) ※新設
労働者のスキルアップのため、在籍型出向を行った事業主に、助成金が支払われるものです。
出向から復帰した後、5%以上の賃上げを行うことが条件です。こちらは出向元にのみ、負担した賃金の3分の2(中小企業)の助成金が支払われます。
想定される活用事例としては、以下が挙げられています。
- DXを目指す企業がIT企業への在籍型出向を通じて、従業員のデジタル技術やその活用技術を習得
- 自動車関連の工場への在籍型出向を通じて、モノづくりにおける品質管理と工程改善の手法や考え方を習得
- 飲食店の従業員をホテル、レストランへ在籍型出向し、調理、接客の高度な技術、考え方を習得
産業雇用安定助成金 効果的な活用法とは?
産業雇用安定助成金 雇用維持支援コース・スキルアップ支援コースを受けるには、在籍型出向の仕組みを、作らなければなりません。
在籍型出向は、出向元と出向先のマッチングが必要です。
また、就業規則や出向契約書、必要な機器備品の整備などの受け入れ準備も、行わなければなりません。
在籍型出向のマッチングは、各市町村の産業雇用安定センターが行っていますが、成立には時間がかかるのが現状です。
これらはいずれも、専門的な知識・経験を要します。事業主様が自力で行うには、かなりの時間と手間を要し、現実的ではありません。専門家である社労士に依頼することを、おすすめします。
なお在籍型出向については、産業雇用助成金の手続きを単体で、社労士に依頼するよりも、在籍型出向全体の「仕組み」づくりを依頼するほうが、効果的と考えます。
その他注意点
上記はわかりやすい説明のため、正確さを一部、犠牲にしている部分がございます。
また、今後正式決定までに、内容が変更される可能性もございます。
個別の事例につきましては、お尋ねください。
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