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法改正情報

2025年 年金制度改正案:パート社保の企業規模要件撤廃へ|中小企業が備えるべきポイントとは

厚生労働省は、短時間労働者の社会保険適用を拡大する年金制度改革法案を国会に提出しました。これにより、これまで従業員数51人以上が対象だった「企業規模要件」が段階的に撤廃され、すべての中小企業が影響を受けることになります。本記事では、熊本県内の中小企業経営者・人事労務担当者の皆さまに向けて、改正内容と今後求められる対応を分かりやすく解説します。

社会保険の「企業規模要件」が段階的に撤廃

現在、短時間労働者(パート・アルバイト)が健康保険や厚生年金保険に加入するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

1. 月額賃金が8.8万円以上
2. 週所定労働時間が20時間以上
3. 学生でない(定時制等を除く)
4. 従業員数が51人以上の企業に勤務していること

このうち、最も多くの中小企業に影響する「4.企業規模要件」が、2027年(令和9年)10月以降、段階的に撤廃される予定です。スケジュールは以下のとおりです。

  • 2027年(令和9年)10月:従業員36~50人の企業
  • 2029年(令和11年)10月:従業員21~35人の企業
  • 2032年(令和14年)10月:従業員11~20人の企業
  • 2035年(令和17年)10月:従業員10人未満の企業

最終的には、企業規模にかかわらず、一定条件を満たす短時間労働者がすべて社会保険の対象となります。

 

人件費増への対応:保険料負担の支援措置あり

「社会保険加入が義務になると、人件費が増えてしまうのでは」と不安を抱く企業も少なくないでしょう。その点についても、政府は一定の支援策を設ける予定です。

小規模企業が短時間労働者の保険料を、労使折半分を超えて多めに負担した場合、その超過分については国などが全額補助する時限的な制度が創設される予定です。詳細な内容や手続きは今後示されますが、過渡期における企業の負担軽減が図られる見込みです。

 

「週20時間未満」による調整は限界へ:就業管理の見直しが必要

これまで社会保険加入を避けるため、「週30時間未満」で契約することで対応していた企業もありました。しかし、制度改正が進めば、その調整余地は縮小します。

加えて、高齢者雇用に関連する「在職老齢年金」も支給停止となる収入基準額が月51万円→62万円に引き上げられ、高齢者の「働き控え」に一定の歯止めがかかる方向です。

これらの流れを踏まえると、「制度のスキマ」を突くような雇用設計ではなく、ライフスタイルに応じて安心して働き続けられる職場づくりが重要になります。

 

労務リスクと向き合いながら、持続可能な雇用環境を

今回の制度改正は、中小企業にとって「義務が増える」「コストがかさむ」と感じられるかもしれません。しかし、見方を変えれば、優秀な人材の確保や定着に向けたチャンスとも捉えられます。

実際、健康保険や厚生年金保険の加入は、求職者から見ても「安心して働ける職場」の重要な要素です。熊本県内でも、人口減少と人材確保の難しさが年々深刻化する中で、「制度対応+魅力ある職場づくり」の両立が経営課題として問われています。

 

今から着手しておきたい、適用拡大への対応

社会保険の適用拡大は、すぐに全企業に影響するわけではありませんが、「確実に近づいてくる未来」です。経営者や人事労務管理責任者・担当者の皆様には、制度変更の背景や狙いを理解したうえで、社員との契約内容、雇用管理の体制を見直す準備を今から始めていただきたいと考えています。

当事務所では、こうした法改正への実務対応、社員説明、制度設計の見直しなどを通じて、中小企業の皆さまの持続可能な発展をサポートしています。ご相談はいつでもお気軽にどうぞ。

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