トラック・物流Gメンが是正措置を実施 荷主側の責任が問われる時代に

北海道運輸局が「トラック・物流Gメン」の活動状況を公表しました。訪問した563カ所の荷主企業のうち、長時間の荷待ちや契約外業務を強いるケースが確認され、67件の是正措置が行われています。これは大都市圏だけの話ではなく、熊本を含む全国の企業が直面する課題です。荷主企業としてどのような対応が必要なのか、中小企業の経営者向けに解説します。
トラック・物流Gメンとは?
令和5年に創設された「トラック・物流Gメン」は、ドライバーの働き方改革を支えるために荷主側の行為をチェックする専門チームです。
- 長時間の荷待ち
- 契約にない附帯業務
- 大雪時などの無理な配送依頼
こうした行為が「違反原因行為」とされ、改善を指導・是正しています。
荷主責任の重視が進む背景
物流の「2024年問題」以降、ドライバーの労働時間削減は国を挙げての課題になっています。
これまで「運送会社が工夫すべき」とされていた部分が、いまや「荷主の責任」として問われる時代に移行しました。
特に今回のデータでは、
- 長時間の荷待ち:46.7%
- 契約外の附帯業務:23.3%
と、荷主の管理体制が直接問題となるケースが目立っています。
熊本の中小企業にとっての意味
熊本でも製造業や卸売業を中心に、物流依存度の高い企業は多く存在します。以下の点は経営者が確認しておくべきポイントです。
1. 契約内容の明確化
附帯業務(荷降ろし、検品など)は契約書に明記されているか。
2. 待機時間の管理
出荷スケジュールや荷捌き体制が適切か、ドライバーを待たせていないか。
3. 災害・天候リスク対応
無理な配送依頼をしていないか。大雪や豪雨時の方針を定めているか。
実務対応のヒント
- 荷待ち時間を記録・可視化する(運送会社からの声を定期的に収集)
- 契約書に「附帯業務の範囲」を明記する
- 出荷・荷受けの時間指定を柔軟化する(ピークを避ける仕組みづくり)
- 物流改善は「取引先との協議」が鍵
まとめ
「物流Gメン」の是正は北海道だけの話ではなく、全国的に広がる流れです。熊本県内の中小企業も、ドライバーの働き方に配慮した体制整備を進めることが、取引関係の安定・企業の信頼性向上につながります。
荷主責任を軽視すると行政指導や取引停止リスクにもなり得ます。今こそ「物流は経営課題」と捉え、改善に取り組むことが求められています。
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