2026年3月末まで「すべての保険証」が利用可能に ─ 11月12日厚生労働省事務連絡

12月2日から従来の健康保険証は使用できなくなり、マイナ保険証または「資格確認書」へ移行します。
しかし今回、厚生労働省が移行期の「重大な暫定措置」を通知しました。
結論として、協会けんぽ・国保・健康保険組合・後期高齢者医療その他、どの保険証でも2026年3月末まで利用可能となります。
熊本県の中小企業経営者・人事担当者に向けて、実務対応ポイントを整理します。
1.今回の事務連絡のポイント
11月12日、厚労省保険局より医療関係団体に対し「マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行」について事務連絡が発出されました。
特に重要な点は以下の通りです。
– 12月2日以降、従来の健康保険証の有効期限が到来する
– 原則はマイナ保険証 or 資格確認書を使用
– しかし移行期の混乱を避けるため、
どの保険証であっても2026年3月末まで受診可能とする暫定措置を適用
つまり、形式上は「期限切れ」であっても、医療機関側がオンライン資格確認で資格を確認できれば、従来通りの負担割合(3割など)で診療が受けられる運用が認められました。
2.なぜ暫定措置が必要なのか
今年12月の健康保険証廃止に向け、現場では以下の懸念がありました。
– 従業員が期限切れに気づかず保険証を持参する可能性
– マイナ保険証の利用率が伸び悩んでいる
– 資格確認書の申請・発行が一時的に増加する
– 医療機関の窓口が混乱し、受診拒否やトラブルにつながる恐れ
今回の措置は、こうした混乱を避けるための「現実的な落としどころ」と言えます。
3.中小企業の実務対応(人事・総務向け)
熊本の企業でも、12月以降は従業員からの質問が増えることが予想されます。
以下を社内で共有しておくと混乱が大幅に減ります。
(1)保険証は2026年3月末まで使えると明確に伝える
「期限切れと書いてあっても受診できます」
この“安心感”を従業員に伝えておくことが重要です。
(2)ただし“次回以降”はマイナ保険証または資格確認書を持参
医療機関も毎回オンラインで資格を確認するため、手続き面ではマイナ保険証が最もスムーズです。
(3)退職・異動時の資格喪失や加入手続きは従来どおり慎重に
暫定措置は「保険証の形式」に関するもの。
資格そのものが切れている場合は当然使えません。
人事部は資格喪失日の管理を徹底しましょう。
4.経営者への示唆
マイナ保険証の完全移行に向け、今回の措置は“2年4ヶ月のバッファ”といえます。
とはいえ、今後はオンライン資格確認が医療・労務双方の基本インフラになります。
早めに
– マイナ保険証の指導
– 社員説明
– 入退社時のデジタル連携
を整備することが、業務効率化とトラブル防止につながります。
まとめ
今回、厚労省の発表により、健康保険証の“実質的な延命”が決まりました。
2026年3月末までは安心して利用できますが、これはあくまで移行期の暫定措置。
企業としては、この期間に“新しい保険証制度への対応力”を整えていくことが求められます。
熊本県内の中小企業の皆さまに向けて、今後も法改正や実務ポイントを分かりやすく解説していきます。
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