賞与の月給化が進行中? その背景と中小企業への示唆

大企業で進む「賞与や退職金の月給化」。実際に社員のモチベーションにどのような影響を与えているのでしょうか。パーソル総合研究所の調査結果をもとに、熊本県内の中小企業にとっての影響と対策について解説します。
大企業で進む「賞与の月給化」という動き
2025年12月1日付の労働新聞に掲載されたパーソル総合研究所の調査によると、正社員301人以上の企業において、「賞与を月給に組み込む」いわゆる「月給化」を行ったケースが32.8%にのぼることが明らかになりました。また、退職金の月給化も27.7%が経験しているとされています。
このような動きは、主に人件費の平準化、計画的な賃金管理、離職率対策などの観点から導入されていると考えられます。
モチベーションへの影響は? ポジティブな変化も
興味深いのは、賞与の月給化によって「モチベーションが向上した」と答えた人が31.5%に達している点です。「低下した」と回答したのは11.0%にとどまっており、賞与の月給化が必ずしもネガティブな施策ではないことが示唆されます。
退職金の月給化についても、25.4%がモチベーション向上を実感しています。
中小企業への影響と考えるべきポイント
熊本県内の中小企業経営者にとっては、「うちは賞与も退職金も、十分に支給できないから関係ない」と考えるかもしれません。しかし、以下の点に注意が必要です。
– 労働市場での「報酬の見え方」は変化している
– 賞与や退職金が“確定的に支給される賃金”として月給に含まれることで、生活の安定を評価する人材が増えている
– 特に若年層や家計を担う層にとっては、年収ベースより「毎月の手取り」が重視される傾向がある
実務上の対応としてできること
中小企業では「月給化」そのものより、給与制度や報酬の説明責任を果たすことが先決です。
– 「なぜ今の給与制度なのか」を社員に伝える工夫
– 昇給・賞与の評価基準をわかりやすく明文化
– 月額報酬の安定性と、賞与等のインセンティブ性をどうバランスさせるかを再検討
社員との信頼関係が構築されていれば、柔軟な制度運用も可能です。
まとめ
賞与や退職金の月給化は、制度の単純化だけでなく、働き手の価値観の変化を反映した動きでもあります。熊本の中小企業にとっては、制度導入よりも「報酬の意味づけ」を見直す良い機会かもしれません。社員との対話を大切にしながら、自社に合った報酬設計を考えてみましょう。
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