何か起こる前に整備を!10人未満の会社にも就業規則を勧める理由とは

うちは小さい会社だから大丈夫”は本当ですか?
日々のご相談の中でよく聞かれるのが、「うちは従業員が10人未満だから就業規則は必要ないですよね?」というご質問です。
たしかに、法律上は従業員が常時10人未満であれば就業規則の届け出義務はありません。しかし、それが「就業規則を作らなくてもいい」という意味ではないのです。
労務トラブルは会社の規模に関係なく突然起こります。そして、トラブルが起こってから就業規則の必要性に気づいても、時すでに遅し。今回は、なぜ10人未満の小規模事業所でも就業規則の整備が必要なのかを解説します。
労働基準法はすべての会社に関係する
まず押さえておきたいのは、労働基準法はすべての労働者に適用されるという点です。
確かに、法律では「常時10人以上の労働者を使用する事業場」に就業規則の届け出義務があると定められています。ですが、たとえ9人以下でも、従業員に共通する労働条件や行動ルールを定める必要がある場面は多くあります。
たとえば、勤務時間や休憩、休日のルール、遅刻・欠勤の取り扱い、懲戒処分や解雇の条件など…。これらをすべて個別の雇用契約書で網羅するのは現実的ではありません。だからこそ、共通のルールブック=就業規則の存在が重要なのです。
懲戒・解雇・ハラスメント…就業規則がなければ対応できない!
では、就業規則がないとどうなるのでしょうか?
たとえば、問題行動を繰り返す社員に懲戒処分を検討したいとします。しかし、就業規則に懲戒の種類やその基準が明記されていなければ、その処分は無効とされる可能性が非常に高くなります。
また、近年重要性が増しているハラスメント対策も同様です。パワハラやセクハラを防止するためのルールが社内に整備されていなければ、被害が出た際に会社の責任が問われるリスクが高まります。
「就業規則がなかったせいで対応できなかった」「退職した社員から訴えられた」—こういった事態は、決して他人事ではありません。
会社を守る武器として「オーダーメイド就業規則」を
では、どうすればよいのでしょうか?
答えはシンプルです。たとえ従業員が数人でも、会社に合った「オーダーメイドの就業規則」を作成しておくこと。これにより、労働条件や社内ルールを明確にし、従業員とのトラブルを未然に防ぐことができます。
特に、10人未満の小規模事業所では、少人数だからこそのコミュニケーションの難しさや、個別対応の限界もあります。だからこそ、共通ルールの存在が経営者にとって強い味方となるのです。
当事務所では、企業の実情に合わせた就業規則の作成・見直しをサポートしています。トラブルを未然に防ぎ、安心して経営を続けられるよう、一緒に整備していきましょう。
「何か起こってから」では遅い
最後にもう一度お伝えします。
労務トラブルは、起こってからでは遅いのです。就業規則は、会社と従業員を守るための「予防策」。そして、それは会社の規模に関係なく、すべての企業に必要な備えです。
「うちは小規模だから…」と先延ばしにする前に、ぜひ一度ご相談ください。熊本市を中心に、就業規則の整備を通じて安心の職場づくりをサポートしています。
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