固定残業代とは何か &固定残業代が有効となる要件とは
社会保険労務士の、荻生清高です。
今回は、顧問先より固定残業代についての、ご質問を頂きましたのでまとめました。
なお、長くなりますので、複数の投稿に分割しています。
固定残業代(定額残業手当)とは何か
あらかじめ何時間分かの時間外手当を、事前に見積もり、固定で支払うものです。
固定残業代(定額残業手当)が有効となる要件
これについては、裁判例の積み重ねにより、以下の要件があるとみられています。
- 時間外労働の対価として支払われる手当であることが、雇用契約・就業規則等で明記されていること(対価性)
- 通常の労働時間にあたる部分と、割増賃金に相当する部分とが、明確に区分されていること(明確区分性)
- 実際に行われた時間外労働に対して計算した時間外労働手当が、当該定額残業手当を上回った場合は、その差額を支払うことが明示されていること
この要件を満たさない固定残業代は、無効とされますので、注意が必要です。
固定残業代について、よくあるイメージ
経営者の方からは、固定残業代についてのご質問を、よく頂きます。
一般的には、好意的なイメージを、持たれているということでしょう。
例えば、以下のようなものです。
- 固定残業代を設ければ、人件費を抑えられる
- 固定残業代を設ければ、労働時間管理の手間を省ける
- 固定残業代は、効率的に働けば早く帰れて、給料は変わらないので労働者に有利
- 残業が減ったら、固定残業代は止めればよい
これは正しいのでしょうか。
また、固定残業代を使う場面があるとすれば、どのようなものでしょうか。
以後、稿を改めて解説していきます。
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