男性育休「取ったら終わり」になっていませんか? 〜熊本の中小企業に必要な「その後」の支援〜

男性育休がようやく一般的になりつつある今、「取得後にどう職場に戻るか」が新たな課題になっています。熊本県内でも、育休は取れたけれど復帰後の働き方が変わらず、家庭にしわ寄せがいく――そんな声が増えています。中小・中堅企業の経営者、人事労務の皆様にとっても、見逃せない実務課題です。
男性育休取得は、ゴールではなくスタート
2023年度の男性育休取得率は30%に達し、制度としては大きく前進しました。しかし、熊本県内の現場でも「復帰したら残業続きで家庭との両立が難しくなった」というケースが少なくありません。制度は整っていても、実態が伴わなければ定着は難しいのです。
変わらない働き方と家族の危機
ある企業では、育休から復帰した男性社員が1カ月で元の働き方に戻り、連日の深夜残業に。家庭では妻の負担が増え、「このままでは共働きが続けられない」という切実な声も。男性の育休は、家庭と職場の両方に影響する重要なテーマです。
2025年4月からの法改正とは?
今年4月に育児・介護休業法が改正され、子どもが小学校入学前までの残業免除申請が可能になりました。10月からは、短時間勤務やテレワークなど複数の支援策を講じる義務も始まります。これは大企業だけの話ではありません。中小企業も対応が求められる内容です。
取り組む企業には効果も
三井住友海上など一部の企業では、育休取得社員やその同僚に給付金を支給する制度を導入し、人材確保や企業イメージの向上につなげています。熊本でも、社員のライフステージに寄り添う取り組みが「働き続けたい職場」づくりにつながります。
中小企業に必要なのは「現場に即した制度設計」
法律を守るだけでなく、実際に職場で制度が機能するようにすることが重要です。たとえば:
- 復帰後の業務配分の見直し
- 上司・同僚への事前研修
- 時間外労働に関する就業規則の見直し
- 柔軟な働き方(労働時間・休日)の導入
こうした取り組みが、社員の定着率や生産性向上にもつながります。
育休支援は企業の「人づくり」のチャンス
育児経験は、社員の視野を広げ、職場への共感力を育てる機会でもあります。育休を「リスク」ではなく「成長投資」と捉え、熊本の企業にあった現実的な制度運用を一緒に考えていきましょう。
当事務所では、制度設計から現場での運用支援まで、熊本の中小企業の皆様と伴走するご支援を行っています。まずはお気軽にご相談ください。
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