労働時間規制の緩和検討──中小企業にとっての「柔軟な働き方」と「安全配慮義務」のバランス

新任の上野厚労相が、労働時間規制の緩和について言及しました。経営者としては「働きやすさ」「人材確保」「リスク管理」の3つをどう両立させるかが問われます。本記事では、今後の制度変更の可能性と、中小企業がとるべき対応について解説します。
上野厚労相が「労働時間規制の緩和」を検討へ
2025年10月21日に発足した新内閣で厚生労働大臣に就任した上野賢一郎氏が、労働時間規制の緩和を含む検討を進める意向を表明しました。背景には「心身の健康維持」と「従業員による働き方の選択」を両立させるという狙いがあるとのことです。
なぜ今、労働時間規制の緩和が論点に?
これは、日本全体で「多様な働き方」の実現が求められるなか、制度側が柔軟に対応できていない現状への問題提起でもあります。特に副業・兼業の推進が進む中、従来の一律的な時間規制では現実との乖離が生じやすくなっているためです。
一方で、労働時間の上限は「過労死ライン」にも直結するものであり、安易な緩和には慎重であるべきです。
熊本県内の中小企業にとっての意味
熊本県でも人手不足が深刻化しており、「柔軟な勤務体系」が人材確保の鍵となってきています。たとえば、子育て世代やシニア層の活用、副業人材の受け入れには、従来の時間規制が壁になる場面もあります。
しかし、労働時間の管理が緩くなることで、「安全配慮義務違反」や「労災認定リスク」が高まる可能性も否定できません。ここに経営者の戦略的な判断が求められます。
今後の動きと備えるべきこと
厚労省は現在、働き方ニーズの調査を実施中とのこと。その結果を踏まえて、労働時間制度の見直しが本格化する可能性があります。
中小企業としては、次の準備が求められます:
- 自社の業務特性に応じた「柔軟な働き方モデル」の検討
- 時間管理と健康管理を両立させる「就業規則」の見直し
- 副業・兼業の受け入れ方針の明確化
- 労災・安全配慮に関するリスク管理体制の強化
まとめ
労働時間規制の緩和は「働きやすさ」と「安全」の両立を目指すものですが、中小企業にとっては経営戦略とリスク管理の両面での対応が必要です。今後の制度改正に備えつつ、自社にとって最適な働き方のあり方を見直す好機と捉えましょう。
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労働時間制度や働き方の設計に関するご相談は、社会保険労務士 荻生労務研究所までお気軽にどうぞ。
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