2026年9月16日、労働政策審議会労働条件分科会が再開され、労働基準法改正に向けた本格的な議論が始まりました。勤務間インターバル制度、「つながらない権利」、裁量労働制の見直しなど、働き方の根幹に関わる重要なテーマが並んでいます。年内に報告書がまとめられ、2027年3月には改正法案が国会に提出される見通しです。熊本市の中小企業経営者の皆様にとって、今から準備を始めることが、将来の混乱を避ける鍵となります。
■ 労働基準法改正、いよいよ本格始動
「骨太の方針2026」で示されていた労働基準法改正について、9月16日に労働政策審議会労働条件分科会が再開され、具体的な議論がスタートしました。
今回の改正では、以下のような論点が挙げられています。
- 勤務間インターバル制度
- 連続勤務規制
- 「つながらない権利」
- 裁量労働制
- 変形労働時間制
- 副業・兼業
- テレワーク・フレックスタイム制
- その他(過半数代表者、法定休日、年次有給休暇など)
これらは、いずれも企業の労務管理に直結するテーマです。特に、勤務間インターバルや「つながらない権利」といった新しい概念は、現場での運用に戸惑いが生じる可能性があります。
■ 改正スケジュールと企業への影響
現時点で予想されるスケジュールは以下の通りです。
- 2026年内:報告書取りまとめ
- 2027年3月:改正法案の国会提出
- 2027年6月:法案成立(見込み)
- その後:施行(段階的導入の可能性あり)
法案が成立してから施行までの準備期間は限られます。特に中小企業においては、就業規則の変更、勤怠管理システムの見直し、従業員への周知といった作業に相応の時間が必要です。
■ 中小企業が今から準備すべきこと
私が多くの中小企業をサポートする中で感じるのは、法改正への対応が「後手に回りがち」だということです。しかし、早めに動いた企業ほど、スムーズに移行できています。
今の段階でできることは以下の通りです。
1. 現状の労働時間管理を見直す
勤務間インターバルや連続勤務規制が導入されれば、現在のシフト体制や残業の実態が法的にどう評価されるかが変わります。まずは、自社の勤務実態を正確に把握しましょう。
2. 就業規則・労使協定の点検
変形労働時間制や裁量労働制を採用している企業は、現行の運用が新しい基準に適合するか確認する必要があります。特に36協定や裁量労働制に関する労使協定は、見直しが必要になる可能性が高いです。
3. 従業員とのコミュニケーション強化
「つながらない権利」や副業・兼業に関する議論は、働き方の価値観そのものに関わります。経営側の一方的な押し付けではなく、従業員の声を聴きながら対応策を考えることが、信頼関係の維持につながります。
4. 勤怠管理システムの対応可否を確認
勤務間インターバル規制などが導入されれば、システム側での自動チェック機能が求められる可能性があります。ベンダーに早めに確認しておくことをお勧めします。
■ 熊本の企業こそ、地に足のついた対応を
私は熊本で長年、中小企業の労務支援に携わってきました。熊本の企業は、従業員との距離が近く、柔軟な働き方を実現しやすい土壌があります。その強みを活かしながら、法改正にも冷静に対応していくことが重要です。
法律が変わることは「負担」ではなく、「働きやすい職場を作る契機」と捉えることもできます。今回の改正議論は、働き方改革の延長線上にあるものであり、従業員の健康と生産性の向上を目指すものです。
経営者の皆様には、ぜひ前向きに、そして計画的に準備を進めていただきたいと思います。
■ 今後の動向もしっかりフォローします
労政審での議論は今後も続き、具体的な制度設計が明らかになっていきます。当事務所では、引き続き最新情報をキャッチアップし、熊本の中小企業の皆様に分かりやすくお伝えしてまいります。
ご不安な点や、自社の状況を確認したいという方は、いつでもお気軽にご相談ください。
【参考資料】
第211回労働政策審議会労働条件分科会(資料)令和8年(2026年)9月16日
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76187.html

