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相談事例

その制度、本当に必要?キャリアアップ助成金と会社の将来を考える

「助成金がきっかけ」では続かない

「キャリアアップ助成金がもらえるらしい」「正社員登用制度を整えればお金が出ると聞いた」──そんな声をよく耳にします。
もちろん、制度を整えることで助成金を受けられるのは企業にとってプラスですが、「助成金が出るから制度を作る」という順序になってしまうと、結果的にうまくいかないことが少なくありません。

本記事では、助成金のために制度をつくるのではなく、本当に必要な制度を整える過程で助成金を活用するという、本質的な順序についてお話しします。

助成金は「目的」ではなく「手段」

キャリアアップ助成金は、非正社員を正社員に登用する制度を設け、かつそれを就業規則に明記し、適切に運用することで支給される制度です。一見シンプルですが、実際に申請・受給まで進めるには、きちんとした労務管理体制と制度運用が求められます。

しかし現実には、制度や運用が伴っていない状態で、「助成金が出るから」と先に話が進んでしまうケースが後を絶ちません。こうした場合、助成金の要件を満たすためだけに制度を設けても、会社の実態に合わず、現場が形骸化してしまうことが多いのです。

「制度づくり」から始めた会社、「助成金ありき」で動いた会社

実際にあった事例をご紹介します。

ある企業では、「非正社員がなかなか定着しない」「登用のルールが曖昧で不公平感がある」といった課題があり、キャリアパスの明確化が喫緊の課題でした。そこで、正社員登用の基準・プロセス・訓練制度をゼロから構築し、その流れの中でキャリアアップ助成金の存在を知りました。結果的に、助成金の要件を自然に満たすことができ、制度と助成金が両立しました。

一方、別の企業では、最初から「助成金ありき」で制度づくりが始まりました。しかし、就業規則の整備も不十分で、実態に合わない登用制度を無理に作ろうとしたため、現場の理解が得られず、形だけの制度に。最終的には要件も満たせず、制度も助成金も得られないという残念な結果となってしまいました。

まずは「自社に必要な制度とは何か」を見極める

キャリアアップ制度を整える際には、まず「自社にとって正社員登用の制度が本当に必要か?」「それをどう運用し、育成・評価と結びつけるか?」という点を丁寧に見極めることが不可欠です。

その上で、「その制度に助成金が活用できるか?」という視点を持つべきです。
つまり、助成金は制度設計の後に考えるべき補助的な手段であり、制度設計そのものの動機ではないということです。

社会保険労務士として顧問契約で関与する際も、この視点を共有できる企業との関係づくりを大切にしています。

制度と助成金、会社にとっての「順序」を見直す

キャリアアップ助成金は魅力的な制度ですが、それ自体が目的になってしまっては本末転倒です。
助成金に合わせて制度を作るのではなく、会社にとって本当に必要な制度を作り、そのうえで助成金を「うまく使う」という姿勢が、制度の定着と会社の成長につながります。

キャリアアップ制度を通じて組織力を高めたい、登用プロセスを整えて人材定着につなげたいとお考えの企業様、まずは制度設計の段階からご相談いただければと思います。

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