災害ボランティアにも有給休暇を。フジの事例に学ぶ「独自の休暇制度」で企業らしさを形にする方法

2025年10月22日付の労働新聞によれば、㈱フジが従業員に対し、災害ボランティアに従事する際の特別有給休暇(年3日)を導入しました。この取り組みは、地域社会への貢献と人材の定着支援を両立する好事例であり、制度設計次第では中小企業でも十分導入可能です。熊本で中小企業支援に取り組む当所の実務視点から、この事例の活用法を考察します。
企業の価値観を「制度」で形にする
フジの新制度では、地震や豪雨など自然災害の被災地でのボランティア活動を対象に、年3日を上限に特別有給休暇を付与。正社員だけでなく、パート・アルバイトも対象に含めている点が特徴です。
これは「CSR(企業の社会的責任)」の一環であると同時に、従業員の価値観や社会意識に寄り添う制度づくりの好例といえます。
中小企業でも可能なオリジナル休暇制度
私たちが支援する熊本県内の中小企業でも、「自社らしさ」を反映した休暇制度を整えるケースが増えています。例えば、
- 家族との時間を大切にする「家族参観休暇」
- 自己成長支援としての「スキルアップ休暇」
- 地域イベント参加のための「地域貢献休暇」
といった形で、従業員の生活や価値観を尊重した制度を設計し、企業文化の醸成や採用競争力向上につなげています。
フジの事例のように、「誰のために」「どんな価値を大切にしているか」を制度に込めることで、他社との差別化につながります。
熊本だからこそ、災害支援への備えを
熊本はこれまでにも地震・豪雨など数多くの災害に見舞われてきました。地域社会との関係性を重視する中小企業にとって、災害時に社員が支援活動に参加できる制度を用意しておくことは、リスク対応としても有効です。
制度設計のポイントとしては:
- 年間付与日数の上限設定(例:年3日など)
- 活動の対象や範囲を事前に明確化(承認制)
- 有給・無給の組み合わせで柔軟に運用
といった工夫により、無理なく導入することが可能です。
まとめ
独自の休暇制度は、単なる福利厚生ではなく「企業文化を表現する手段」です。フジのように、地域への思いや社会貢献意識を制度として表現することで、従業員のエンゲージメントや定着率の向上にもつながります。
熊本の中小企業だからこそ実現できる、地域に根ざした制度設計。ぜひ、皆さんの会社でも「らしさを形にする制度づくり」を検討してみてください。
制度設計や事例収集のご相談も、当所で随時承っております。まずはお気軽にご相談ください。
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