鹿児島市役所の働き方改革に学ぶ:熊本の中小企業が検討すべきポイントとは

行政の働き方改革が進展する中、鹿児島市が2026年から市役所全体の業務時間を1時間短縮する決断をしました。熊本市も同様の検討を進めている中で、私たち民間企業にとってもこの流れは大きな示唆を与えてくれます。今回の取り組みを読み解きつつ、熊本県内の中小企業経営に活かせる視点を探ります。
鹿児島市役所の働き方改革内容
2026年1月から、鹿児島市役所では窓口を含む全業務の対応時間を1時間短縮します。午前8時45分から午後4時30分までとなり、現在よりも開庁が15分遅れ、閉庁が45分早くなります。この背景には「コンビニ交付」の普及によって来庁者数が大きく減少したことがあります。
2020年度には66万件以上あった窓口交付が、2024年度には35万件程度に減少。一方、コンビニ交付は約6.8倍にまで増加しており、デジタル化による業務効率化が確実に進んでいることがわかります。
時間外業務の抑制という副次的効果
注目すべきは、今回の改革が単なる窓口業務の短縮にとどまらず、職員の時間外労働の削減を狙っている点です。一部部署では閉庁後に2時間超の残業が常態化していたとのことで、持続可能な働き方への転換が求められています。
市長は「市民のために考える時間を作り出す」とし、業務改善やサービス向上への再投資を視野に入れています。
熊本市も動き出す
熊本市でも、同様に窓口業務の時間短縮に向けた市民アンケートが行われており、今後の動向が注目されます。自治体の業務時間変更は市民生活への影響も大きいため、広い理解を得るプロセスが求められます。
中小企業への示唆:業務時間と成果の再定義を
この行政改革から、中小企業が学べる点は少なくありません。特に以下の視点が参考になります:
- 業務量の可視化と時間の見直し:来客対応やアナログ作業が減った場合、業務時間を見直すことで職場全体の生産性が向上します。
- デジタルツールの活用:業務効率化の鍵は、自治体同様、デジタル技術の活用です。中小企業においても導入余地は多くあります。
- 残業削減は業績維持と両立できる:長時間労働の常態化は、従業員の疲弊を招くだけでなく、将来的な人材確保にも影響します。
まとめ
鹿児島市の改革は、単なる行政サービスの効率化にとどまらず、働き方の質を問い直す取り組みでもあります。熊本市の今後の施策とあわせて、私たち民間企業も「時間の使い方」を再考する時期に来ているのかもしれません。今こそ、働き方改革を「人を減らす」ではなく「時間を有効に使う」視点で考え直す好機です。
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