介護業界の人手不足対策に一手 埼玉県「介護のみらいサポートセンター」開設に学ぶ

介護業界における深刻な人手不足は、熊本県でも例外ではありません。そんな中、埼玉県が打ち出した「外国人材の採用支援窓口」の取り組みが注目を集めています。本記事では、埼玉県の施策を紹介しながら、熊本県内の介護事業者が今後取り得る選択肢について考察します。
埼玉県の事例:外国人材確保に向けたサポート体制の構築
埼玉県では、令和8年に約2万人の介護職員が不足すると予測されています。この課題に対応すべく、「介護のみらいサポートセンター」を新たに開設しました。
このセンターでは、外国人介護人材の採用を支援するために、以下のような取組が行われています。
- 特定技能に関するセミナーの開催(登録支援機関の職員を講師として招聘)
- 外国人雇用に関する知見提供
- 事業者と登録支援機関のマッチング支援
- 専門相談員による採用段取り・経費に関する相談対応(週1回)
このように、ワンストップで採用支援を行うことで、介護事業者側の負担を軽減し、制度の理解や運用を促進しています。
熊本県の介護現場にも求められる新たな視点
埼玉県のような「サポートセンター」の仕組みは、熊本県においても導入の余地があります。特に、地域差が大きい介護人材の確保においては、地域独自の支援体制が必要です。
熊本県でも、フィリピンやインドネシアなどの国々から来日する介護人材の活用が進みつつありますが、多くの事業者が制度の複雑さや文化的なギャップ、言語の壁に直面しています。そうした不安に対し、以下のような支援策が望まれます。
- 県や市町村レベルでの相談窓口の設置
- 外国人採用経験者による具体的なアドバイスの提供
- 地域の登録支援機関との連携強化
- 介護現場での受け入れマニュアルや研修支援の整備
専門家の視点:労務管理と多文化共生の視点も不可欠
外国人材の受け入れは、採用面だけでなく、労務管理や定着支援の視点が重要です。特に、労働時間・賃金・労働条件の適正管理、文化的な誤解やストレスへの配慮、言語サポート体制の整備は不可欠です。
社会保険労務士としての立場からも、外国人介護人材の受け入れに際しては、単なる人手の補完ではなく「多文化共生型の職場づくり」を視野に入れるべきと考えます。
まとめ:熊本でも「人材確保の新しい選択肢」を模索する時期
埼玉県の先進的な取り組みは、熊本県内の介護事業者にとっても大いに参考になります。これからの人材確保は、従来の方法に加え、外国人材の受け入れや定着支援、制度活用力がカギを握ります。
人手不足が深刻化する前に、今から備えることが、未来の安心につながるのではないでしょうか。
当事務所では、外国人雇用に関する労務相談、制度設計、受け入れ体制づくりのご相談を承っております。熊本県内の介護事業者様に向けて、実務に基づいた支援を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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