カスハラ対策、何から始める? 石屋製菓の「ポケットブック」導入事例に学ぶ

「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が、接客業従事者の職場環境を脅かす深刻な問題となっています。北海道の老舗企業・石屋製菓が導入した「ポケットブック」は、その対策として注目を集めています。熊本県内で接客業を展開する中小企業の皆さまにとっても、実践的なヒントが詰まった事例です。
石屋製菓の「カスハラ対策」:直感的に使えるフローチャート形式
「白い恋人」で知られる石屋製菓は、直営店舗や観光施設での接客現場におけるカスハラ対応を明文化。全8ページの「サービススタッフポケットブック」に、クレーム対応の流れをフローチャート形式で掲載し、特に若手・パート社員でも即座に活用できるようにしています。
- 対応のステップが一目でわかる
- 不当な要求には毅然と対応するルール
- 「業務に関係のない質問には答えない」と明記
この工夫によって、従業員の心理的安全性が向上。「従業員を撮影しSNSに投稿する」などのトラブルにも毅然と・冷静に対応できるようになったといいます。
熊本の中小企業が得られるヒント
熊本でも観光業やサービス業に従事する中小企業では、少人数体制で店舗運営をしているケースが多く、管理者が常駐しない現場も少なくありません。そのため、マニュアルではなく「現場で即使える」ツールの整備が鍵になります。
特にポイントとなるのは以下の3点です:
- 対応のルールを視覚的に提示する(フローチャート化)
- 周囲との連携を促す「複数人対応」の徹底
- 顧客の言動が就業環境を害する場合は「対応を拒否できる」ルール明示
これらは従業員の離職防止や、採用難の解消にもつながります。
心と身体の健康管理にも注目
石屋製菓では月1回の「簡易サーベイ」でメンタルの状態を可視化する仕組みも導入。加えて、栄養バランスや従業員満足度に配慮した社員食堂の改善や、ポイント制による運動促進など、「日常の働きやすさ」を地道に支えています。
熊本の中小企業でも、社員食堂までは難しくても、例えば:
- お昼休みにストレッチやウォーキングを推奨する
- 簡易アンケートで月1回、気分の変化をチェックする
といった工夫から始めることが可能です。
まとめ
接客業における人材確保・定着は、職場の「安心感」があってこそ。石屋製菓の事例は、カスハラ対応の視える化、心身両面からのケアが、組織の活力を支えるという好例です。
熊本県内の企業様におかれましても、まずは「自社でできる第一歩」を見つけてみませんか?
関連記事
-
熊本県の中小企業が人事評価制度導入で押さえるべき3つのポイント 熊本県の中小企業が人事評価制度導入で押さえるべき3つのポイント -
「良かれと思って」が命取りに?発達障害社員の情報共有で起きた労務トラブル 「良かれと思って」が命取りに?発達障害社員の情報共有で起きた労務トラブル -
求人が集まらない理由と解決策:応募者が注目するポイントを徹底解説 求人が集まらない理由と解決策:応募者が注目するポイントを徹底解説 -
【2025年法改正対応】熱中症対策の現場事例と中小企業の実務対策 【2025年法改正対応】熱中症対策の現場事例と中小企業の実務対策 -
「助成金ありき」では失敗する|AI・DX導入前に見直すべき本質とは? 「助成金ありき」では失敗する|AI・DX導入前に見直すべき本質とは? -
【2025年10月実施】健康保険の被扶養者認定基準が変更へ 「150万円未満」への年収要件引き上げがもたらす実務への影響とは? 【2025年10月実施】健康保険の被扶養者認定基準が変更へ 「150万円未満」への年収要件引き上げがもたらす実務への影響とは?