総務省が地方公務員の兼業・副業促進に動きました。これまで「公務員の副業＝NG」が常識とされてきた中での大きな方針転換です。この流れは、民間企業、とりわけ人手不足に悩む中小企業にとっても新たなチャンスとなる可能性があります。今回はこの通知の内容と、地域企業への実務的な影響について解説します。

公務員の副業が変わる？ 総務省通知のポイント

2025年6月、総務省は全国の自治体に対し、地方公務員の副業を促進するための「許可基準の明確化と公表」「環境整備の推進」を求める通知を出しました。特に注目すべき点は以下の通りです：

• 営利企業との兼業を一律に禁止しない方針
• 利益相反がないかの確認
• 報酬水準の適正性と労働時間の上限設定
• 自営業としての副業（例：書道教室やハンドメイド販売）も認める方向性

背景にあるのは「人材不足」と「地域活性化」

公務員のなり手不足は全国的な課題です。一方で、多様な働き方やスキルの地域還元という視点は、民間でも叫ばれてきました。この通知は、働く人の「選択肢の広がり」を前提とした、労働市場全体の価値観の変化を映し出しています。

中小企業への影響：実務の視点から

今回の通知が地域企業に与える影響は主に以下の3点です：

① 副業人材との連携可能性
公務員との業務委託や副業マッチングの可能性が広がることで、専門的知見をスポット的に活用できる環境が整うかもしれません。

② 「副業に寛容な企業」への注目
自治体の変化は、企業にも副業解禁への圧力となります。「副業を歓迎する文化」が採用力の強化につながる可能性もあります。

③ 地域ぐるみの人材循環という考え方
自治体職員が地域企業に関わることは、行政と民間が連携しやすくなる好機です。CSR・地域連携の一環として、積極的に考えてもよいでしょう。

まとめ：自社に合った「働き方の多様化」をどう取り入れるか

今回の通知は、公務員制度改革という文脈だけではなく、日本全体の「働き方改革」の流れの一端です。副業を「リスク」ではなく「資源」と捉える視点が、これからの経営に求められるでしょう。

荻生労務研究所では、中小企業における副業制度の設計や社内ガイドラインの策定支援も行っています。自社に合った対応方針を検討されたい方はお気軽にご相談ください。

お問い合わせフォームはこちら