令和7年度スタート:「賃上げ」支援助成金パッケージの活用ポイントとは?

令和7年度、厚生労働省は「賃上げ」を促進するための新たな支援策として、8つの助成金を束ねたパッケージを発表しました。賃上げの加速、生産性向上、正規・非正規格差の是正といった社会課題に対応する内容であり、熊本県内の中小・中堅企業にとっても活用価値の高い施策です。本記事では、その概要と実務視点でのポイントを解説します。
賃上げパッケージの全体像と背景
厚生労働省が令和7年度の地方労働行政運営方針で打ち出した「賃上げ支援助成金パッケージ」は、生産性向上支援、処遇改善、正規・非正規格差の是正といった複数の目的を併せ持つ8つの助成金で構成されています。特に注目されるのは、賃上げを行った企業に対する加算措置の新設や、助成額の増額といった具体的な優遇策です。
主要な助成金と加算内容の一例
たとえば、「働き方改革推進支援助成金」では、外部専門家の活用や労働能率向上の設備機器導入により、労働時間削減と賃上げを実現した企業に対し、最大360万円の加算が受けられるようになりました(賃上げ7%以上の場合)。
また、「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」では、有期雇用労働者の基本給を3%以上改定し適用した企業に対して、1人当たり最大7万円が支給され、昇給制度新設には事業所単位で最大20万円の加算が行われます(中小企業の場合)。
最低賃金引上げ対策の柱「業務改善助成金」
最低賃金の引き上げに直面する中小企業にとって、特に注目すべきは「業務改善助成金」です。この制度は、事業場内の最低賃金を引き上げ、生産性向上のための設備投資等を行った企業に対し、その費用の一部を助成するものです。
たとえば、POSレジシステムや自動化機器の導入、業務効率化に資するソフトウェアの購入などが対象になり得ます。賃上げによるコスト負担を軽減しながら、生産性の向上を図る企業にとって、非常に実効性のある支援策です。申請には明確な引上げ計画と、それに伴う設備投資等の内容が求められますので、制度の理解と戦略的な活用が鍵となります。
企業ニーズに応じた柔軟な活用を
このパッケージの特徴は「選択肢の広さ」にあります。企業ごとに異なる課題――たとえば人材定着、生産性向上、待遇改善など――に応じて最適な助成金を選択できる点は、中小企業の経営実態に即した柔軟な支援策といえます。
当事務所では、各社の状況に応じた助成金活用のご相談を承っています。自社の課題解決につながる助成金の選定、申請スケジュールの策定、制度設計支援など、実務面のサポートをご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
令和7年度の賃上げ助成金パッケージは、中小企業にとって労務改善と経営戦略を両立させる好機です。賃上げや処遇改善を検討している企業様は、ぜひこの制度を積極的にご活用ください。
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