生成AIで未来を創る社労士|クラウド勤怠管理・給与計算導入 |起業家・スタートアップ支援|運送業・建設業・医師の働き方改革

050-8890-0477

法改正情報

2026年労働基準法の見直しは「一旦保留」へ ― 中小企業経営者が今、押さえておきたい視点

2026年通常国会への提出が予定されていた「働き方改革」の見直しを含む労働基準法改正案が、提出見送りとなる方向で調整されています。
熊本県内でも人手不足が深刻化する中、このニュースをどう受け止め、経営にどう活かすべきか。社会保険労務士の視点から整理します。

改正案が見送られた理由

今回の見送りの背景には、単なる手続きの遅れではなく、「労働時間規制そのものをどうするか」という大きな政策判断があります。

政府は、人手不足や生産性向上を背景に、

・労働時間規制の緩和
・企業側の柔軟な働かせ方の容認

といった方向性も含め、改めて全体像を検討する方針を示しました。

特に、高市早苗首相が「労働時間規制の緩和検討」への議論を指示したことが、今回の判断に大きく影響しています。

これまで議論されていた見直し内容

労働政策審議会では、すでに以下のような論点が検討されていました。

・14日以上の連続勤務の禁止
・副業・兼業時の割増賃金計算ルールの緩和
・フレックスタイム制をより使いやすくする見直し
・過半数代表者の位置づけの強化

いずれも「働きやすさ」と「企業の実務負担」のバランスが問われる内容です。
特に中小企業にとっては、制度変更のたびに運用を見直す負担が小さくありません。

熊本の中小企業経営者が意識すべきこと

今回の見送りで重要なのは、「当面、現行ルールが続く」という点です。

つまり、
・時間外労働の上限規制
・36協定の考え方
・割増賃金の計算方法
これらは変わりません。

一方で、政府の方向性としては
「規制をどう緩めるか」
「企業ニーズをどう取り込むか」
という議論が強まっています。

今後は、
・規制緩和が進む可能性
・業種・規模ごとに差が出る可能性
も十分考えられます。

社労士としての実務的な提言

今の段階で経営者の皆さまにお伝えしたいのは、

「法改正を待つ」のではなく、
「現行制度の中で、無理のない運用ができているかを点検する」
という視点です。

・長時間労働が常態化していないか
・特定の社員に負担が集中していないか
・将来の制度変更にも耐えられる運用か

こうした点を整理しておくことが、結果的に制度変更への最良の備えになります。

まとめ

働き方改革の見直しは「白紙」になったわけではありません。
むしろ、より大きな方向転換の前段階に入ったと見るべきでしょう。

熊本県内の中小企業にとって、
「人を守りながら、事業を続ける」
ための現実的な労務管理が、これまで以上に重要になります。

制度の動きと、現場の実情をつなぐこと。
それが、私たち社会保険労務士の役割だと考えています。

関連記事

TOP