定年延長が進む中、熊本の中小企業が備えるべきこととは?

パーソル総研の調査で、大企業の約4割が定年を65歳に延長予定であることが明らかになりました。この動きは将来的に6割以上の企業に広がると見られており、中小企業にとっても他人事ではありません。熊本県内の経営者が今考えるべき対応とは?労務の専門家の視点から解説します。
背景:定年延長の流れと今回の調査結果
2025年7月に発表されたパーソル総合研究所の調査によれば、定年を60歳未満としている企業のうち、約38.7%が65歳までの定年延長を予定しているとのことです。対象は従業員300人以上の企業ですが、この流れは中小企業にも波及する可能性が高いと見られています。
また、65歳以上を定年とする企業は現在は少数派ですが、今後60%近くまで増加するという推計もあり、高齢者雇用が今後の人材確保において重要なテーマとなっていることが分かります。
熊本県内の中小企業が直面する課題
熊本県内でも、少子高齢化の進行と若年層の人材確保の難しさが中小企業経営者の共通課題となっています。定年延長は人手不足対策として有効な一方、健康面・能力面への配慮や就業規則の整備、賃金制度の見直しなど、対応すべき課題も少なくありません。
特に体力的な制約が生じやすい業種では、高齢者に適した職務設計や働き方の工夫が求められます。
労務管理の実務ポイントとアドバイス
中小企業が定年延長に取り組む際は、以下の3点が特に重要です:
- 就業規則の見直し:定年年齢や継続雇用制度の記載を最新化し、社内での同意形成を図ること。
- 賃金制度の再設計:年齢・能力・職務内容に応じた納得感のある賃金制度に再構築すること。
- 健康管理・職場環境整備:年齢に応じた働き方ができるような労働環境への配慮。
当事務所では、これらの整備に関する個別相談・制度設計の支援も行っております。
まとめ:先手の対応が経営の安定につながる
定年延長は「やらされる」施策ではなく、「活かす」施策に転換できるかが経営の分かれ目となります。制度化が義務づけられる前に、御社の実態に即した柔軟な制度設計を進めておくことが、結果として人材確保と社内の安定に寄与します。お気軽に当事務所へご相談ください。
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