令和5年度の熊本県最低賃金898円答申 過去最大45円の引き上げ 会社はどう対応すべきか
社会保険労務士の、荻生清高です。
令和5年度(2023年-2024年)の熊本県最低賃金は、898円で答申されました。
答申通りに決まれば、目安額を6円上回る、過去最大45円の引き上げとななります。発効は若干遅れて、10月8日の見通しです。
最低賃金の大幅引上げへの対応は、生産性向上と販売価格への転嫁を優先
社内のコスト削減での対応は、限界があります。
売上・利益の向上への取り組みが、欠かせません。
取り組みは大きく分けて2つです。
ひとつは生産性向上、そして販売価格への転嫁です。
生産性向上に向けた投資には、業務改善助成金を活用する
会社の生産性向上には、機械設備・システムの導入、あるいはコンサルタントの指導など、投資を伴います。
この投資機会に活用できるのが、業務改善助成金です。
業務改善助成金は、生産性向上への投資と賃上げを、同時に行った会社に、生産性向上への投資にかかった費用の一部を、助成金として支払います。
既に購入したい機械設備等のある企業については、最低賃金引上げの10月よりも1ヶ月早い9月に、賃金を引き上げて助成金を申請すれば、10月以降に賃上げするよりも、得になります。
他方、これまで社内の最低賃金が高く、業務改善助成金が申し込めなかった企業は、10月の最低賃金引き上げ以降、申し込める可能性が出てきます。
この場合、設備投資を10月以降の賃金引上げに合わせて行うことも、ご検討ください。
業務改善助成金は、社内の最低賃金が高い先などは使えませんが、代替案がありますので弊所までお問い合せください。
値上げ交渉で、人件費の販売価格への転嫁を
値上げ交渉は難しい、というご相談も、多く聞きます。
よくあるのが、そもそも交渉ができていないケースです。
値上げ交渉のときには、データや根拠など、材料を用意していますでしょうか? これが意外とできていないです。
販売先ごとの、コストや工数・所要時間、採算性。これが計測できていなければ、交渉の材料ができません。
根拠のない値上げの「お願い」では、断られる可能性は高いでしょう。
なお値上げ交渉は、採算性の下位5%から交渉を始めると、良いとされています。
最低賃金の大幅引き上げは、値上げ交渉の絶好の機会
最低賃金の過去最高の引き上げは、話題性が極めて高いです。
人件費上昇に伴う値上げへの理解は、得やすい時期にあるのではないでしょうか。
ぜひ、この機会を活かしてください。
参考情報
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