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36協定が無効扱いに? 押印廃止後に増えるリスクと実務の見直しポイント【熊本の社労士が解説】

「36協定(時間外・休日労働に関する協定書)」が正しく作成・届出されていないことを理由に、労働基準監督署から是正を求められるケースが急増しています。特に、押印・署名廃止後に協定の“実効性”が問われる事例が増えており、熊本県内の中小企業でも他人事ではありません。この記事では、最新の行政動向と、実務上見落としやすい落とし穴、そして対応のポイントを分かりやすく解説します。

押印・署名廃止がもたらす「協定無効リスク」

2021年の行政手続き見直しにより、36協定届への押印・署名は原則不要となりました。便利になった反面、実態として「誰が協定の内容に同意したのか分からない」「協定書自体が存在しない」という状態が生まれています。

特に、協定届と協定書を兼ねている場合、過半数代表者の署名・押印がなければ、法的には「協定なし」と判断されかねません。上野労基署の指摘は、まさにこの実務の盲点を突いています。

よくある誤りと行政の見解

労基署が問題視する代表的な誤りは以下のとおりです:

  • 協定届の電子申請データはあるが、労働者代表との同意(署名または押印)のある協定書が確認できない
  • 協定届の内容が見本どおりで、実態と合っていない
  • 健康確保措置で見本通りに「医師による面接指導の実施」と記載しているが産業医がいない
  • 休日労働の始業・終業時刻が平日の定時と同じで根拠がない

これらは全て、「実効性のない協定」と判断される可能性が高く、是正指導・監督対象となります。

実務で守るべき3つのポイント

36協定を有効なものとするために、以下の3点は必ず押さえてください:

労働者代表の適正な選出と合意手続きの証拠保存

過半数代表が誰で、どのように選ばれたか。その同意のプロセスが第三者に説明できるよう記録を残すことが必要です。

協定内容の「実態反映」

届出の便宜のために見本どおりに書くのではなく、自社の勤務実態に即した内容にすること。特に健康確保措置や休日労働の記載には注意が必要です。

定期的な見直しと職場への周知

協定は年1回見直しを原則に、変更があれば従業員への周知も忘れずに。就業規則との整合性も確認しましょう。

熊本の中小企業における実務的アドバイス

熊本県内でも電子申請の導入が進む一方、労務管理の見直しが追いついていない事業所が散見されます。たとえば、農業・建設業・運輸業などの業種では、36協定の特別条項の扱いに注意が必要です。

また、「社労士に任せているから大丈夫」と思われがちですが、協定書の作成過程に経営者自身が関与することが、最終的なリスク低減につながります。

まとめ

36協定は、形式的な手続きに見えながらも、労働時間の管理や労使関係の根幹にかかわる重要な文書です。電子申請や押印廃止といった制度の変化に伴い、実務の運用も見直す時期に来ています。

労基署が「最初に見る」と言う36協定、今一度、自社の協定書が有効なものとなっているか確認してみてください。

関連リンク

厚生労働省 山口労働局「知っておきたい36協定届」

労働時間や上限規制についての基礎、適正な労働時間の管理のポイントが、36協定届の記入方法とともにまとめられています。

36協定届が協定書を兼ねる場合の取り扱いについても、説明しています。

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