【注意喚起】熊本の中小企業経営者が知っておくべき「賃金不払い」増加の現実

令和6年の厚生労働省の発表によると、全国で確認された賃金不払い総額が前年比1.7倍の172億円に達しました。不払い件数も2万2354件と大幅に増加し、影響を受けた労働者は18万5197人に上ります。
これは単なる統計ではなく、私たち熊本の中小企業にとっても無関係ではありません。今回はこのニュースを踏まえ、中小企業経営者が注意すべきポイントを解説します。
賃金不払いが増加している背景
厚労省の分析によると、背景には以下の要因があります。
- 倒産件数の増加
経営難から賃金支払いが滞るケースが多発。 - 比較的高水準の賃金を受ける層の不払い
管理職や専門職層にも影響が及び、経営への信頼失墜リスクが拡大。
業種別では、商業(20%)・製造業(19%)・保健衛生業(15%)で多く、特に金額では運輸交通業(41%)が突出しています。
熊本でもこれらの業種は多く存在しており、まさに身近なリスクといえます。
中小企業が取るべき実務対応
1. 賃金台帳・勤怠管理の徹底
労基署からの調査に耐えられる「記録」を日常的に整備しておくことが重要です。
2. 資金繰りリスクの早期把握
賃金は「最優先で支払うべき債務」です。資金ショートの兆候があれば、取引先との調整や専門家への相談を早めに行いましょう。
3. 就業規則・契約内容の見直し
固定残業代や歩合給の扱いを誤ると「不払い」と見なされる場合があります。制度設計そのものの再点検が必要です。
4. 労基署の指導後では遅い
今回の統計では、労基署の指導により96%の事案が解決しました。しかし、調査に至った時点で企業の信用は毀損され、求人・取引に大きな影響を残します。事前予防こそが最大のリスク回避です。
熊本の経営者の皆様へ
賃金不払いは、単なる「経営上のミス」ではなく、企業存続に直結するリスクです。
地域で信頼される企業であり続けるためにも、「未然防止」こそ最大の経営戦略と考えていただきたいと思います。
当事務所では、労務管理の点検や資金繰りに直結する人件費設計のご相談もお受けしています。ぜひ「労基署に指摘される前」の段階で、一度ご相談ください。
まとめ
- 賃金不払い総額は前年比1.7倍・172億円に増加
- 熊本の中小企業も無関係ではない
- 賃金台帳整備・資金繰り対策・就業規則見直しが必須
- 「事後対応」ではなく「事前予防」で企業を守る
熊本の企業が安心して成長できる環境をつくるために、今こそ労務リスクの点検を始めましょう。
関連記事
-
精神障害の労災支給が過去最多に カスタマーハラスメント対応が企業の喫緊課題に 精神障害の労災支給が過去最多に カスタマーハラスメント対応が企業の喫緊課題に -
有期雇用「10年特例」成立の舞台裏から読み解く、労務リスクと制度設計の盲点 有期雇用「10年特例」成立の舞台裏から読み解く、労務リスクと制度設計の盲点 -
熊本における半導体人材育成の動きと中小企業への影響とは 熊本における半導体人材育成の動きと中小企業への影響とは -
令和5年度最低賃金は、過去最高の引き上げの見通し。会社はどう対応するか? 令和5年度最低賃金は、過去最高の引き上げの見通し。会社はどう対応するか? -
「良かれと思って」が命取りに?発達障害社員の情報共有で起きた労務トラブル 「良かれと思って」が命取りに?発達障害社員の情報共有で起きた労務トラブル -
若手が辞めない建設会社のつくり方 「平均年齢31歳」を実現した企業に学ぶ「定着戦略」 若手が辞めない建設会社のつくり方 「平均年齢31歳」を実現した企業に学ぶ「定着戦略」
